HeadTail係長の職場でもテレワーク中の方から感染者が出てしまいました。幸い症状は軽いのひとまず安心ですが、自宅での感染症対策は各自に委ねるしかなく、どうか気を抜かないで健康管理に努めて欲しいと思っています。

 

さて、前回(第293回)で法定地上権の趣旨は理解して頂けたと思います。宅建士でも行政書士でも法定地上権は重要ポイントなので、今週は法定地上権の成立する要件に着目しつつ、問題となるバリエーション事例を中心に眺めて参りましょう。(受験でこういうバリエーションに関する知識が試されます

 

※ケース3から始めます。ちなみにケース1、ケース2は標準パターン(土地抵当権の実行で土地所有者と建物所有者が別人となるケースと、建物抵当権実行で土地所有者と建物所有者が別人となる法定地上権成立の標準ケースです。前回、図1、図2として掲載したので省略し、ケース3からスタートです。

 

●要件その1抵当権を設定した時に土地と建物がそろっていること。


Qさんは私(Qちゃん)

ケース3:土地に抵当権設定した後、建物が新築された場合

抵当権者の利益を重視。
3のように、土地に抵当権の設定後、建物が新築された場合、抵当権実行時には、土地と建物が存在し、かつ、どちらも同一人の所有です。一見して法定地上権が成立しそうですが、不成立です。これは、抵当権者が、将来そういう想定で担保価格を決めておらず、あくまでも更地として価値を前提にしているので、その利益を保護しようという考えです。

仮に、抵当権設定の時、当事者同士(事例ではPQ)が「将来家建てた場合には法定地上権成立を認めることにしましょうね」と約束していたとしてもNG、土地買受け人(競落人、事例ではR)には対抗できません。

 

 

ケース4:土地に抵当権設定した後、建物が建替えられた場合

Rさんは私(麗奈(れな)ママ)

抵当権者の視点を重視
4のように、土地に抵当権の設定後、建物を建て直した場合、抵当権実行時には、土地と建物が存在し、かつ、どちらも同一人の所有です。この場合は、成立ですが、法定地上権の存続期間は、原則として、抵当権を設定当時のかつての建物の存続したであろう期間に限定されます。ただし、抵当権者自身、将来そういう想定で担保価格を決めていたように、抵当権者を害さないなら新築建物を基準に存続期間を決めて構わないとされます(判例)。

 

●次回は、法定地上権成立要件の二つ目「土地建物を同一人物が所有」に関係したバリエーション事例を見てみましょうね。
 

ヘッドライトとテールライトHead & Tail
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●日本赤十字社のウェブサイト

東日本大震災義援金