“さあ、終わったらさっそく七夕の晩酌だっちゃ、ね”
相殺の続きを少しだけやっておきましょうね。参考まで、前回見た言葉の復習をしておきます。(下の表参照)
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意 味 |
呼び方 |
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相殺したい側の人が持っている債権 |
自働債権 |
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相殺される側の人が持っている債権 |
受働債権 |
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相殺をするのが可能な時期にあること。具体的には、双方が弁済期にあること。 |
相殺適状 |
●自働債権は時効消滅していても相殺できる
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問:10年以上前に甲は乙に100万円貸したがそのまま時効になってしまった。一方、乙はまだ時効になる前に甲に100万円の茶器を売却しており、甲に支払いを要求した。 甲は時効になった貸金債権と茶器の代金を相殺しろと主張できるか。 |
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答:相手方が代金の支払いを求めるならば、たとえ今は自分の債権が時効で消滅していても、消滅前に相殺適状になっていたならば、自分の債権(=自働債権)で相殺することができます。民法は、消滅時効を好都合に乙が自分の債権だけ一方的に主張するのを許しません。 |
●受働債権が命や身体に関わる損害賠償請求権なら相殺できない
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問:甲は乙に100万円貸しており返済期限がかなり過ぎている。競馬で大穴を開けた帰り道、偶然乙に出くわした甲は乙に八つ当たり、早く金を返せと乙を小突いた。ところが、運悪く乙は転倒し頭を打って全治一週間、治療費に20万円を要した。 甲は100万円の貸金と乙からの20万円の損害賠償請求を相殺できるか。 |
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答:これ、どう思われますか。民法は甲と乙、どっちの味方をするでしょうか。ちょっと常識と民法さんの優しい人柄だけで考えてみてください。 そうです、相殺できません。いや、させません。民法の問題は、常識と、民法のパーソナリティだけでも理解できる部分が多々ありますね。 一応、法律的に説明すると、受働債権(ここでは被害者である乙さんが持つ債権)の債務(即ち甲の債務)が「人の生命や身体への侵害を理由とする損害賠償の債務」の場合は、被害者保護の見地から相殺禁止です。甲は100万円の回収は、それはそれとし、着実に20万円を乙に支払う必要があります。 ちなみに損害賠償請求は、この設例のように不法行為に基づく場合もあるし、債務不履行に基づく場合もあり得ます。 |
●(参考:労働基準法)受働債権が賃金債権なら相殺できない
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問:AさんはB会社の工場で真面目に働いていたが、ある朝Aさんの不注意で工場の駐車場の鉄柵を破損してしまった。 B会社は、その月の給料からAさんが会社に弁償すべき金額を差し引いて支給した。Aさんは手元に残った給料だけでは生活できなくなる。そんなことが許されるだろうか。 |
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答:雇用主が雇用者の賃金債権を受働債権として相殺できるかと言う問題です。厳密には民法でなく労働基準法上の問題です。しかし、共通して言えるのは「相殺を許すと相手にあまりにも酷な場合には相殺を認めない」という立場です。説例は労働者の生存を危うくする恐れがあり、労働者保護の見地から相殺禁止です。(判例) |
●次回、最後のポイントを見て、相殺から脱出です。
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