債務者は「弁済」によって義務から解放されます。弁済で債権は消滅します。

 

支払う、引き渡す、何かをするなどをひっくるめて「給付」と呼びますが、債務の本旨に従った(つまり約束通りの)給付=弁済です。そして債務の履行とも同じことです。

 

でも、弁済したかどうか争われることがあります。その一つが弁済に債権者の協力であるにもかかわらず協力してくれない場合です。

 

「どの時点で弁済したと言えるか」、それは「弁済の提供」が行われた時です。弁済の提供がキーワードになります。

 

弁済の提供には「現実の提供」と「口頭の提供」があります。この言葉、前回、不特定物債権(種類債権)の特定のところで出てきましたね。

 

 

以下の表を参考にしてください。

 

弁済の提供(まとめ)

 

債務の種類

弁済の提供の種類

原則

あらゆる債権

 

・現実の提供

・持参債務では、「出向いて行き、債権者に目的物を差し出した時」が現実の提供

 

例外

取立債務(債権者の行為が必要な債務)

・口頭の提供。「債権者に準備ができたことを告げ、受領を催告した時」が口頭の提供

受領拒否された場合*

 

同上

*相手が固く拒絶しているなら口頭ですら提供不要。

 

●弁済を「提供」して始めて債務を履行したことになる(弁済提供)

問:AさんはBさんから家を借りている。ところがBさんが「あんたの家賃は受け取らない」と言っている。Aさんは家賃滞納で債務不履行責任を問われるか。

 

答:仮にAさんが自分のなすべきことを全て果たしているなら、Aさんに不利益を与えるのは正義に反します。Aさんは弁済を提供していれば債務不履行責任を負いません。

 家賃の支払いは特定物債権以外の債権なので、特別合意が無ければ持参債務です。AさんはBさんのもとへ家賃を支払いに行かなければなりません。しかし、Bさんが最初から家賃を受け取らないと言っているなら「家賃を支払いますから受け取ってください」と告げさえすれば現実の提供、弁済の提供をしたことになります。(表のピンクの部分参照)

 

●弁済は、弁済代位とか債権総論の大事なポイントの基礎になるので、次回もう少しだけ見ておきましょうね。

“ごめん、もうちょこっとだけ待ってけろ!”

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