今回は代理の最後の論点、「無権代理と相続の関係」を見るよ。例によって焦らずいきましょうね。
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●無権代理と相続のポイント 無権代理人が本人を相続したら契約は有効(亡くなった本人の拒絶できるという立場を相続しても拒絶は許されない)。但し、本人が亡くなる前に拒絶していたら有効でない。 一方、本人が無権代理人を相続しても契約は当然有効になるわけではない(あくまでも本人の立場で追認を拒絶できる)。但し、無権代理人の責任も相続するので、履行責任や損害賠償責任も相続する(不動産などの特定物の場合には履行責任でなく損害賠償責任のみ)。 |
ところで、無権代理をされてしまった場合の本人の権利だけど、本人には無権代理の行為を認めて有効なものに確定する権利(追認権)もあるし、反対に、無効であることに確定する権利(追認拒絶権)もあるんだ。その前提知識で次の設問を考えてくださいね。
●無権代理人が本人を相続した場合の追認拒絶権
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問:Aは喫茶店オーナーであるBさんが男手一つで育て上げた自慢の一人息子である。ところがAはBさんに黙ってその実印や土地の登記識別情報を持ち出し、この店をCさんに売却した。その後Bさんは失意のうちに亡くなり、Aが単独でBさんを相続した。ほどなくCさんがAを訪ね、店を早く引き渡せと言ってきた。父親の死をきっかけに改心したAは、喫茶店を続ける覚悟だったので、この契約は、無効だ、追認しないと主張できるだろうか。 |
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答:設問は次の①に該当します。心を入れ替えたA、しかし、残念ながら無効だ、追認しないとは言えない。設問の事例で、もし仮に本人である親が無権代理人である息子を相続した場合の扱いは②を見てください。
①無権代理人である子が親を相続 例えば、子が親の代理人といつわり勝手に親の土地を売り飛ばしたとします。その後無権代理人である子が親を相続すると、子は親の全てを引き継ぎますから、無権代理人でありながらも無権代理の被害者(この場合本人)としての地位も引き継ぎます。 しかし、無権代理の被害者である本人の立場に立ち、本人が持つ追認権と追認拒絶権のうちの追認拒絶権を盾にとって土地の売却を拒んだとしたらどうでしょう。相手からすれば怒り心頭ですよね。法律を盾にとった身勝手な主張です。民法の大嫌いな正義に反する態度です。だから理論的には追認拒絶権も相続するが、それを行使することは「信義則に反し許されない」とし、追認権を行使せざるを得ない(当然有効)と考えます。 ところで、このケースに関連して論点をさらに2点ほど追加しておきましょう。 一つ目は、本人(設問では親)が亡くなる前に追認を拒絶していた場合の扱いです。この場合、子は相続で親の「追認を拒絶した」ポジションを引き継ぐと言えます。だから無権代理人は一応、契約は有効でないと言えます。但し、民法は甘くないです。相続人としてではなく無権代理人としての責任は依然残り追及されます。 二つ目は、仮に親を単独で相続しているのでなく、例えば兄弟とともに共同相続しているなら事情が変わってきます。亡き親が持っていた追認権は共同相続人全員(兄弟全員)に不可分的に帰属するので単独では追認できないというルールがあるので、当然に追認権を行使させられることはありません。
②親が無権代理人である子を相続 次に設問の事例と異なり、親が無権代理人である子どもを相続した場合どうなるでしょうか。民法は、親は子供の生死に関わらず無権代理人の被害者(この場合本人)として追認拒絶権を行使しても「信義則には反しない」と考えます。しかしその一方で、無権代理人だった子の立場も相続して引き継ぐので、無権代理人の責任、すなわち、契約の履行、そして不動産のような特定物で履行が難しいならば損害賠償の責任を負います。
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★ちょっと一言:民法を学んでいると「良いけどダメ」、「原則OK例外NO」という局面に多々出くわします。こういうところは奇妙に映り、戸惑うかも知れません。しかし、奇妙であればあるほど覚え易いとも言えます。奇妙と感じることが覚えるための秘訣かも知れませんね。 |
●次回「条件」そして「時効」に入りましょう。
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