文月読了。 | ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

当方四弦。フレットあり、ヘッド無し。
場合によって、フレット無し。

毎度です。



ライブ記事をほったらかしにして?読了記事アップしておきます…


先月は8冊。


「かぞえきれない星の、その次の星」重松清著
久しぶりの重松短編集。コロナ禍の話が中心?
コロナ禍での作品故にか「さみしさ」を感じる部分が多め。
桃太郎を題材にした作品だけちょっと異質やけど、それも「さみしさ」は通底してる気が。
重松作品らしくほろっとする部分もあり、その匙加減は流石だな、と。
まぁ、繰り返し読むとそこが鼻についてくるので、たまに読むくらいがいいのかな。
自分は、ね。

「おもちゃ絵芳藤」谷津矢車著
最近よく読んでる(気がする)浮世絵師の物語。
これは歌川国芳門下生の芳藤が題材。
周りの売れっ子絵師に対する葛藤を抱きつつも絵筆を捨てられない様に共感を覚えたり…
幕末から明治という転換期に、当然の様に変わりゆく絵師たちの境遇も含めて、面白かった。
不器用ながらも真摯に生きてる芳藤が、色々なバンドマンの姿にかぶったりする。

「ふるさとを創った男」猪瀬直樹著
タイトル通り、唱歌「ふるさと」を創った男を追いかけたノンフィクション。
題材に興味惹かれて手に取ったけど…
猪瀬さんのノンフィクションは何冊か読んだけど、取材をする様をドラマチックに描こうとしてる気がして、ちょっと苦手なのを思い出した。
その手腕や視点はいいと思うんだけどな。
もうちょっとシンプルに事実だけを述べてくれたほうが、自分には、良かった気がします。

「本が紡いだ五つの奇跡」森沢明夫著
「一冊の本」が出版されるまで?を、作者や編集者、デザイナーなど視点から描いた連作短篇集。
「本」が軸にはなってるけど、あくまでも「人」の物語。
この手の連作にありがちな都合主義は控えめで、それが好印象。ま、読み進めていくうちに先の展開を読んじゃう自分が悪いんやけど。
登場人物の描き方も良かったな。キャラの描き方というか。
森沢さんの作品は何冊か読んでるはずだけど、これが一番好みかな。

「オオルリ流星群」伊予原新著
中年となったかつての同級生グループが、再び集まり一つのモノを作り上げる物語。端的に言えば。
中年故に各自色々な事情を抱え、仲間故にお互いを思いやり、一つのモノに夢中になる様は清々しかった。
青春は、ある特定の時期のことを指すのではなく、その人次第でいつでも青春なんだなと思ったり。
ただ、この中に出てくる「事情」は、もうちょいライトでも良かった気もするが…
この「事情」故の感動なのかなぁ…どうだろ?

「ここに物語が」梨木香歩著
梨木さんによる、書評や解説等をまとめたもの。本がメインだが、一部映画なども。
梨木さんならではの世界観はここでも健在。
こういうエッセイに近いタイプは作者の人となりが現れ易く、所謂小説などの作品とテイストが変わる場合もあるけど、梨木さんに関してはブレないんだよなぁ。よほど芯がしっかりしてる印象。
故に、好きな人はどんどんハマるんだろうな、と思ったり。

「最後にありがとうと言えたなら」大森あきこ著
納棺師である大森さんのエッセイ。先月読んだ終末医療に関するドキュメンタリーに近い?
この本は、単純に、大森さんの普段の仕事の様子を描いている。
ので、シンプルなストーリー故の感動があった。
勿論美談ばかりでなく、大変なことも沢山あるとは思いますが、ここは素直に感謝したいと思います。

「海神の子」川越宗一著
「国姓爺合戦」を題材にした小説。
史実が題材やけど、ここではかなり創作が含まれてるだろうな。
結構スケールの大きなストーリーだが、丁寧に描いてる印象もある。
そういえば、川越さんの作品はどれも壮大な作品だね。三冊しか読んでないけど。
そのスケールの大きさ故にか登場人物の感情の描き方が控えめな気がして、それが良かった気がする。
ただ、そのスケールの大きさが、その時のコンディションによってはしんどい時もあるだろうなと思ったり。







先月の新入荷。