水無月読了。 | ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

当方四弦。フレットあり、ヘッド無し。
場合によって、フレット無し。

毎度です。



相変わらずのマイペース更新です。

とりあえずは、先月の読了記事。
先月は7タイトル計8冊でした。




「北のおくりもの 北海道アンソロジー」集英社編
「北海道」を舞台にしたアンソロジー。
で、短篇小説とエッセイが交互に配置されているんやけど、これが意外と良かった。
北海道が舞台故にか、小説がちょっと重ためで、それを軽妙なエッセイで挟んだカタチが効果的…だった気がする。
小説は、二度目ましてだが、浅田次郎さんの「鉄道員」と河崎秋子さんの「頸、冷える」がずば抜けてたかな。
エッセイは、可でも不可でもなく、という感じではあるけど、「北海道」の暮らしの様子が垣間見られておもろかった。
北海道…行きたいなぁ。


「宮本常一 歴史は庶民が作る」畑中章宏著
一時期よく読んでた民俗学に関するもの。
教科書には出てこないであろう庶民の歴史や暮らし向きなどを研究?する民俗学者・宮本常一を紹介してる…でいいのかな?
宮本常一の著書は何冊か読んでるけど、こういう風に分析したことはないので、意外とおもろかった。
こういった人々の暮らしが堆積した「歴史」の上に、我々の暮らしが成り立ってるんだな、とおぼろげながら実感。
久々に民俗学の本も読んでみよかな。


「ひこばえ 上下」重松清著
お馴染み?重松さんの長編もの。長編らしく、いくつかの物語が絡み合いながら進む。
小さい頃に出て行ったきりの父が亡くなり、報せを受けた息子が父の人生に向き合おうとする物語。
端的に言えば、「家族」と「許し」がテーマになるのかな?
約800Pの長編を綺麗にまとめてあるとは思うが、ちょっと自分には辛かったかも。
最後は綺麗に収まるストーリーも、いざ自分と比較するとちょっとね…
いまだに、心のどこかでオヤジのことを許せてない自分を狭量だな、と思ったり(苦笑)
それを除けば、流石のいい作品だと思う。
数年後に再読したら、また印象変わるかも。というか、変わって欲しい(苦笑)


「殿様を襲った『明治』の大事件」河合敦著
明治に入ってからの混乱期に起きた大事件を追ったもの。
この時期は取り上げられる事件?は大体決まってくるけど、そこではあまり扱われない事件ばかりで、そういった意味では興味深かった。
ただ、興味深い故に、もっと深掘りしたのを読みたかった気もする…
吉村昭の記録小説の様なヤツ。
中でも、仙台藩・伊達邦成は、お話としても魅力的。
福岡藩・黒田長溥は以前読んだ「月神」ともリンクして、視点の違いがちょっとおもろかった。


「サクラ咲く」辻村深月著
辻村さんの作品にしてはすっきりしてる印象だったな。意外に?普通の青春もの。
綺麗すぎるくらいのストーリーでちょっとほろっとしてしまった。
まぁそれは「辻村深月」という看板故に、でもあるけど。多分。
三つの作品が収録されてて、そのどれもが少しづつリンクしてる、その匙加減が流石。
特に最後。ちょっと出来すぎな気がしないこともないけど(笑)


「舞台」西加奈子著
珍しく、傷彦王子が貸してくれた作品。
西加奈子さんの作品は久しぶりやけど…こんな感じだったっけ?
サクサクと進むスピード感は確かに西加奈子っぽいけど。
一言でいえば、自意識過剰な青年の話。
基本、青年の感情だけを追いかけているので視点は狭いんやけど、それが感情の動きの激しさをよく表現してる…かな。
面倒くさい青年ではあるけど、どこか自分と重なる部分もあって…「分かるわぁ」と思いながら読んでた(笑)
それを考えると、これを王子が薦めてきたのが意外。
共感する部分…あったのかな?


「ヒッキーヒッキーシェイク」津原泰水著
津原さんの作品は「ブラバン」を読んだだけでしたが、(良くも悪くも)色々と話題にはなってたので久しぶりに読んでみた。
「ブラバン」とはだいぶ違うなぁ…というか、あれがちょっと異質だったのかな?
端的にいえば「ひきこもり」を題材とした物語。
とはいえ、ひきこもりに対して問題提起等してるのでは無く、あくまでもモチーフとして、という感じ。
とりとめもなくストーリーが進んでいくし、設定?もいまいちはっきりしてなくて、全体的にうすぼんやりとした印象。
が、読み進めていくと、それが心地よくはなってくる…
「ひきこもり」達が少しづつ更生?していく様子は、正直ちょっと安易かな?とも思うけど、ね。
不思議な作家さんだったな。また機会あれば他の作品も読んでみよう。






先月の新入荷。


先々月の反動か、また多め…