名前わかんなかったから、南と瓜。
「ちょっわ!何担ぎ上げてんだよ!?降ろせっ馬鹿!」
浮遊感を感じた時には遅かった。
俺の身体は簡単に宙に浮いて、あとはなされるがまま。
足をバタバタさせるもあまり効果はなく、すぐさまベッドへ投げられた。
痛いと声をあげそうになったが、その必要はなかった。
なるほどこのベッドは柔らかいらしい。
そっと目を開けてベッドの前で仁王立ちしている男を睨む。
するとその男、南は瓜にのぞき込むように顔を近づけながら呟いた。
「なぁに。そっちが言ったんでしょー?『おかしてくれ』って」
にやにやと不敵な笑を浮かべ、指で瓜の顎をなぞる。
「ちっ…ちっげーよっ!!馬鹿っ!!!俺は『お菓子くれ』って言ったんだ!!『おかし"て"くれ』じゃない!『おかし"を"くれ』だ!!解ったらそこどけ変態!」
はあはあと息を荒らげながら言い終えると、南の腕を力いっぱい押した。が、びくともしなかった。
その様子を静かに見守っていた南がくすっと笑って瓜の耳元へ唇を運ぶ。
「お菓子よりも、甘い思い、させてやるよ。」
瞬間。
既に赤く染まっていた瓜の頬はさらに赤味を増し、それは耳まで届いた。
「~~~~ッこのっ…」
瓜の潤んだ瞳に 優しいキス、ひとつ、
さあ、甘い夜を共に。
trick or treat.