今年のお盆のお墓参りは、いつもの年より やや帰るのが遅かった。

パリオリンピックがあったからである。


競技の大半が終わって、閉会式の日に 息子と二人で川湯に帰った。

オリンピックのTVは さほど見たいとは思わなかったが、見はじめると面白い。

結局 帰るのが遅くなったのである。


今 思い返してみると、女子体操のトップ選手の 出場辞退の騒動が印象に残る。

出場辞退そのものは 本人の申し出でもあり、ことさら異とするに足りない。

問題は そのあとの世間の一部の 出場辞退措置への非難である。

協会が あたかも強制したかのような騒ぎたて様だったが、選手たちには 最初にマナーの講習会を実施したあと、本人が、酒、煙草を自制すべき未成年であったにもかかわらず これを犯し、協会あてに内部通報された。


そもそもスポーツは ルールをしっかり守るところから始まる。

その大前提から 知恵と力を絞って闘うのがスポーツというものである。

まして スポーツの最高峰のオリンピックの舞台である。

ルールが無ければ そんなものはスポーツではない。

一部の 出場辞退はかわいそう、と言う識者と称する連中の 考えが分からない。

とにかく まずはなんであれルールを守れ。

社会生活の最低のルールを守れずに なにがアスリートか。


救いは、残った体操女子4選手の 明るさ、懸命さ、であった。

彼女たちの SNSに発信したヘンテコポーズには笑ってしまった。

若い彼女たちは、きっと 生きていくうえでの貴重な何かを 掴んだに違いない。

それは多分 メダル以上の何かであったろう。


それと印象に残ったのは 阿部詩選手と、斉藤立選手の大泣き。

まあ、阿部詩選手は仕方がない。

女は 勝っても負けても泣いていい。

だが 斉藤立君には言いたい。

男なら泣くな、


斉藤君のお父さんと同世代のボクらは、若い頃から、男は泣くな、

男が泣いていいのは、親が死んだ時だけだ、

と 指導者から教えられてきた。

痩せ我慢もまた男である。


戦国の武将、加賀藩の当主 前田利家は、60歳でみまかったが、その際、まつ夫人が枕元にあって、


あなたは幾度も合戦にあって 多くの人を殺してまいりました。

とても極楽往生できるとは思えませぬ。

どうかどうか阿弥陀様におすがりし、極楽往生できるよう 私とともに 念仏を唱えてくださりませ。

と 浄土宗の信者であったまつ夫人は、涙ながらに夫に訴えた。


すると 利家は笑って、痩せこけた手で握り返し、


うむ、わしが地獄に堕ちたなら、先に逝っている家来どもをかき集め、地獄の牛頭、馬頭どもと 一戦交えてくれようわい、

と 呵呵大笑した、と伝えられている。

男の痩せ我慢なんだろうけど、

やっぱり男はこうでなくっちゃ。


ちなみに、

のち、利家の子利常が、関ヶ原合戦の前、豊臣方につくか、徳川方につくか、大いに迷ったとき、まつ夫人が言うには、あなたは徳川にお味方しなさい。

父の利家公は 大器量がおありでした。

たとえ豊臣に味方しても きっと秀頼様をお守りするでしょう。

あなたには それが出来ません。

そのため私は 人質となって江戸に参りましょう。

と、息子の器量を喝破している。


22歳だから仕方ない、とは言わせない。


斉藤よ、

負けて泣くな、

男なら 勝って泣け!

父を超えろ!


帰郷のことを書こうと思ったのだが、話がつい横道にそれてしまった。


途中、上富良野町 富田ファームに寄る。ラベンダーは終わっていた。


新しくできた士幌町・道の駅そばのレストラン。窓から大雪山系が見える。初めて行ったが、ロケーションは最高、料理も美味しかった。