最近気になる言葉がある。
それが「コツ」という言葉だ。
スポーツでも仕事でも、「コツを掴んだら一気に伸びた」「ある時から急にできるようになった」そんな表現を耳にすることがある。
この「コツ」は、マニュアルや研修資料には書かれていない。
しかし、成果を出し続けている人ほど、確実にこの感覚を持っている。
今回は、この正体が曖昧な「コツ」について、ビジネスの文脈で整理してみたい。
コツとは「スキルの上位互換」ではない
まず前提として押さえておきたい。
コツは
- 経験年数
- 努力量
- スキルの積み上げ
だけでは説明できない。
スキルとは「何をどうやるか」だが、コツとは「何をやらなくていいかが分かる状態」に近い。
仕事が伸び悩んでいる人ほど、
・準備を増やす
・説明を増やす
・管理を増やす
ことに力を入れるが。結果を出している人ほど、
・削る
・省く
・任せる
という逆の行動を取っている。
この差を生むのが「コツ」だ。
コツの正体1 重要な一点を見抜く力
ビジネスは複雑だ。
多くの人は「全部ちゃんとやろう」とする。
しかし、成果は常に一部の要因から生まれる。
- 売上を決めるのは、提案資料の完成度ではなく「最初の一言」
- 組織を動かすのは、制度ではなく「上司の問い」
- 交渉を左右するのは、条件ではなく「相手の不安」
コツを掴んだ人は、「ここさえ押さえれば、あとは多少雑でも回る」という一点集中の視点を持っている。
これは才能ではない。
「全部をやろうとする癖」を捨てられたかどうかの違いだ。
コツの正体2 力を入れる場所を“間違えなくなる”
仕事がうまくいかない時ほど、人は力む。
- 必死に説明する
- 管理を強める
- 自分で抱え込む
しかし、成果が出始める瞬間はいつも逆だ。
- 説明を減らした
- 任せた
- 一歩引いた
コツとは、努力を減らすことではなく、努力の場所を変えることと言える。
力を入れるべき一点が分かると、他は抜いても崩れなくなる。
これが「仕事が楽そう」「余裕がある」「カッコよく見える」という印象につながる。
コツの正体3 意識が前に出なくなる
コツを掴んだ人ほど、こう言う。
「考えてないわけじゃないけど、自然にできている」
これは曖昧な表現ではない。
ビジネスにおいても、判断の自動化が起きている状態だ。
- いちいち迷わない
- 判断が速い
- 修正も早い
逆に、コツを掴めていない状態は「正解を考えすぎて、動きが遅くなる」
考えることが悪いのではない。考え続けなければ成立しない状態が問題なのだ。
コツを掴むために、ビジネスパーソンがやるべきこと
では、どうすればコツに近づけるのか。
ポイントは非常にシンプルだ。
1 上手い人の「やっていないこと」を観察する
成功者の行動を真似するよりも、「なぜそれをやっていないのか?」に注目する。
2 自分が一番頑張っている部分を疑う
成果に直結していない努力ほど、手放す価値がある。
3 うまくいった一瞬を分析しすぎない
「なぜか楽だった」「スッと通った」その感覚を壊さないことが大切だ。
4 足すより、削る選択をする
やることを増やす前に、「本当に不要なものは何か?」を考える。
ビジネスの成功は「賢さ」より「構造理解」で決まる
ビジネスにおけるコツとは、小手先のテクニックではない。
複雑な構造を、一段上から見渡す視点を持てるかどうかだ。
その視点を持った瞬間、
- 効率は上がり
- パフォーマンスは上がり
- 余計な消耗は消える
そして結果として、成果が出る。
おわりに
コツは、頑張り続けた人への「ご褒美」ではない。
頑張り方を疑えた人にだけ見える景色だ。
もし今、「こんなにやっているのに成果が出ない」と感じているなら。
やることを増やすのではなく、やらなくていいことを一つ減らす。
そこから、コツへの扉は静かに開き始める。