「被ばく牛と生きる」は、ヒューマンドキュメンタリーコンテスト2015で最優秀賞を受賞、その後も取材を重ね、翌年のヒューマンドキュメンタリー映画祭《阿倍野》2016で全国初上映されたドキュメンタリー映画です。
◉ 松原 保 監督からのメッセージ
2011年震災、そして福島第一原発事故以降、5年間の福島取材をしてきた成果「被ばく牛と生きる」が11月より東京上映を皮切りに劇場公開されています。
現在東京では、吉祥寺に新しくできたココマルシアターで12月いっぱい上映されております。
また私の地元・大阪では、12月16日(土)より正月を挟んで新年の1月5日まで、
十三にある第七藝術劇場にて上映されております。
第7藝術劇場WEBサイト
本作品は、福島の原発事故で被災した数件の農家さんが放射能で被爆し、売れなくなった牛を無下に殺すことはできないとの考えから、賠償金を取り崩しながら牛の餌代に充て、生かし続ける様子を5年間にわたって記録したものです。
本作品は先日、12月9日 市民版ピューリツアー賞と呼ばれる「平和・協同ジャーナリスト基金」より奨励賞を頂きました。
選ばれノミネートされた力作・秀作39作品の中から選ばれたことを光栄に思うと共に、応援いただいた皆様へ感謝を述べさせていただきたいと思っております。
正月明けには神戸・京都での上映も予定しております。
皆様には、本作品をご覧いただければ幸いに存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
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こんばんは。池本です。
10月に仙台空港からレンタカーで福島県いわき市まで国道6号を南下。
海岸沿いは津波対策の堤防が続き海が見えません。荒浜地区の空き地に駐車していたサーファーに道を尋ね堤防へ上がると、サーフィンを楽しむ若者たちの姿が見えました。
浪江町から双葉町、大熊町、富岡町は最近になってやっと国道6号の通行が可能になったと、休憩した「道の駅そうま」で教えてもらいました。しかし歩きや自転車は禁止、自動車のみ通行可能、停車もできません。この間国道沿にはバリケードが張られ、防護服の警察官やガードマンが警備していて道路脇の民家への立ち入りもできません。
車内から見える店舗や民家は荒れ果て、辺り一面雑草が茂り、まるでゴーストタウンのようです。帰還困難区域以外にも除染後の廃棄物置き場が広がり、避難解除になったとしてもとても今までのような生活を取り戻せるとは考えられません。
バリケードが切れ広野火力発電所近くの海岸へ向かおうと左折した途端、検問所で止められUターン。海側へ向かって脇道へ入っても、除染後の廃棄物が積まれ行き止まりに。
今後も長年にわたり見えない放射能の脅威にさらされる福島第一原発事故の責任は、東電と国にあります。帰還困難区域を走行しながら、自己責任だと被災者に責任転嫁する国会議員は、家族とともに福島の原発立地地区で暮らし、生活実感をもって地域の再生に取り組んでほしいと思いました。国は原発事故という大災害に見舞われた被災者の基本的人権を守る長期的な支援のあり方と、新たな法制度を示すべきだと思います。