予告編:『架け橋 きこえなかった3.11』 | ヒューマンドキュメンタリー映画祭《阿倍野》のスタッフブログ

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2017年6月24日(土)〜25日(日) 阿倍野区民センター 大ホール

【映画祭まであと6日!】

予告編:『架け橋 きこえなかった3.11』(73分)
監督:今村 彩子
上映日時:8月23日(土) 13:45~


ドイツ・フランクフルト日本映画専門映画祭<ニッポンコネクション>
ニッポンビジョン部門 観客賞3位 



予告編:『架け橋 きこえなかった3.11』

<関西初上映>

命に関わる情報に格差があってはならない
“津波警報が聞こえなかった”―――。

東日本大震災で危機一髪で助かった聞こえない人のこの言葉に心臓が縮むようでした。
津波警報が聞こえず亡くなった人、 避難放送が聞こえず、津波で孤立した家で一夜を過ごした人・・・。
緊迫感のある体験談を手話で語る、ろう者に私は一刻も早くこのことを社会に伝えなくてはと心を突き動かされました。
そして、震災1ヶ月後に被災地を訪れた時、私も震度6の余震を体験しました。
地面が大きく揺れ、何が起きたのか分かりませんでした。
「津波警報が鳴っている!」とスタッフに言われ、背筋が凍りました。
私は全く聞こえず、揺れが収まったら大丈夫だと思っていたのです。
命を守る情報に格差があってはならない。そう強く感じ、取材を続けました。

主人公の小泉正壽さんは、日々の仕事や被災したろう者の支援活動などで多忙を極めていました。
しかし、取材にはいつも丁寧に応えてくれ、宮城を訪れる度に「わざわざありがとう。
あなたが記録として撮ってくれてとても嬉しい」と笑みを絶やしませんでした。

しかし、予期もしない出来事が起こりました。
取材で宮城に発つ朝、小泉さんの息子さんから「父が倒れた」と連絡がきたのです。
お見舞いに伺った時、小泉さんは脳梗塞で右半身が麻痺し、歩くこともできず、手も上がらないので手話もできませんでした。
私はその夜、涙がとまりませんでした。
しかし、その後、小泉さんは地道な努力でリハビリを続け、走ったり運転したりすることができるまで回復しました。
たくましい精神力にただただ、感服するばかりです。
そして、震災から2年4ヶ月後の7月、会長として仕事に復帰し、笑顔で軽快に走る小泉さんの元気な姿がありました。
その姿をカメラに収め、「架け橋」は完成しました。
この映画が被災地と全国を結ぶ架け橋となれば本望です。

監督プロフィール ----------
今村 彩子(映像作家)

愛知県名古屋市出身/Studio AYA 代表
愛知教育大学卒業/大学在籍中にカルフォルニア州立大学ノースリッジ校に留学し、映画制作・アメリカ手話を学ぶ。
現在、名古屋学院大学・愛知学院大学・名古屋外語大学で講師をする一方、ドキュメンタリー映画制作で国内だけにとどまらず、アメリカやカナダ、韓国、ミャンマーなど海外にも取材に行く。主な作品である「珈琲とエンピツ」(2011)は全国の劇場で公開された。
東日本大震災の被災した聞こえない人を2年4ヶ月間取材し、「架け橋 きこえなかった3.11」(2013)を制作。
全国各地で上映・講演活動をしている。