ある日突然に・・
 
 
それは突然やって来た。
 
あれは暮れも近づいてきた少し暖かい冬の午後の事だった。
 
二頭目の我が家の女の子ニモと嫁,チビで散歩へ出掛けた時チモの後ろ足が妙に引きずった音を立てて、
 
[チャッチャッズチャーッ]
という不規則な音をアスファルトに響かせていた。
 
[んっ?なんかおかしな歩き方してないか?タヌ吉の奴]。

ちょっと気になったけど散歩から帰って来てもいつも通り
旺盛な食欲で飯を平らげているので大丈夫かなあくらい
にしか思っていなかった。
 
うちはチモもニモも飯を食い終わるとすぐトイレにいくようにしてあるので外の小さなコンクリの庭に出る。
 
ニモは素早くトイレに向かうがどういう訳かチモは
ドアの前に立ってオレを見ている。

 
[チモプープー行ってきな]
ドアを開けるとヨタヨタしながらトイレに行く。

 
後ろ足がやっぱりフラフラして安定感がない頼りない歩き方である。
 
うちは寝室が二階にあるため階段を登って行くのだが、
チモは真ん中あたりに差し掛かった時,段差の所で後ろ足が真っ直ぐ伸びきってしまった。
 
お尻を支えて何とか二階へ連れていき自分のベッドに寝かせてやろうとするが、
オヤジのベッドに無理矢理乗ってきて動こうとしない。
 
[しょうがねえなあ,じゃ父ちゃんと一緒に寝よう]と
添い寝してやるように奴と横たわると安心したのか軽い
寝息を立てて寝始めるが,
 
オレは昼間のチモの姿が目に焼き付いてなかなか寝付けなかった。
 
明け方ウトウトしだしたが気になって横を見たら驚いた事にチモは暗がりの中でジーっとオレの顔を瞬きもせずちょっと物悲しそうな顔で見ていた。
 
俺は少しドキリとして、
 
[チモ大丈夫だよお前ももう年だからなあ]と

腕枕してやるとまた腹を見せてグーグー鼾をかき寝てしまったがオレは朝が来るまで一睡も出来なかった。
 
その後の悪い予感はやはり確実に現実の事になっていくのである。