Believe-君にかける橋 | きつねの部屋ブログ版

Believe-君にかける橋

 『Believe-君にかける橋』(うーん、副題がまずダサイ)を初回と最終回を観た。初回を観て木村拓哉が罪人となって刑務所に収監されたが、間違いなく冤罪が晴らされる、ということは確信していたからだ。

 これ、60年代でアメリカでドラマになり後ハリソン・フォード主演で1993年映画にもなった妻殺しの疑いを受け、アメリカ各地を逃げ回る『逃亡者』を下敷きにした中身で、わたしにとっては新鮮味はないし、ご覧になってなければネットで是非ご覧ください。段違いのサスペンスが味わえます。しかも1時間で9回かけたドラマではなく2時間そこそこで。

 

 ついでにいうとこの『逃亡者』の日本版前編、後編が2020年12月、テレビ朝日で渡辺謙主演でドラマ化されております。これもネットにあるかもです。

 気になったのは今までヒーロー役ばかりやって来て、路線を変えた『教場』で新しい扉を開いた(以下)キムタクが初めて犯人役をやるといった設定にどう応えられるかだった。

 結論から言えばやはりキムタク向きに作られたドラマであったということ。演技の拙さ、表情のワンパターン。が、共演者がほとんどがドラマの主演級で豪華だったこともあって、このドラマは救われた、という印象が強い。

 サスペンスドラマとしては落第。というのも初めから彼が橋の崩壊に関して関与していない前提であったことで安直な終わり方が予想された。いやこの設定自体が『逃亡者』そのもの。

 いくら彼が刑務所から脱走し、刑事に追いかけられても必ず逃れられ逮捕されても冤罪がはらされることは、分かっていたので観る気は失せる。

 最終回はものすごく早送り。キムタクの敵はただ一人社長のみで、彼を追いかけていた刑事、そして弁護士、裏切った部下も皆彼の味方、ってどうなのよ。これら三人も悪を最後まで演じてほしかった。

 

 フリも確かに演技だが、善人ばかりのドラマではむしろキムタクが目立たないでしょうに。いや、そのままキムタクが視聴者を騙し悪を貫いたらもっと面白い作品になったのかもしれない。そこまでの覚悟は演出陣にはなかったか。

 そして彼を罪に陥れた張本人の社長との対決、社長の告白。で次のシーンは社長がいきなり勾留所をすっ飛ばし、刑務所での面会のシーン、唖然。

 しかし巷でいわれていたキムタクの背の高さがはっきりとわかるシーンがあった、ので興味深かった。裁判が終わり妻の天海祐希と二人で長野の碓氷峠にある橋の上のシーン。

 ロングショットで、二人が正面を向き並んで歩いてくる。背の高さ、天海祐希とほぼ同じ。まさかこのシーンでCGなど使ってはいまい。

 が驚くことにこれはキムタクの妄想シーンだったということ。天海は既に亡くなっていたということか。しかし、これらの筋は彼のせいではないのだがちょっとね、なんだかサスペンスがファンタジーになり、いいのか、これで。

 判ったのは、なぜキムタクはキムタクなのか。それは冒頭にも書いた変化のない表情。あの喜んでいるのか、悲しんでいるのかよくわからない表情がどの作品でも煩雑にでてくる、アレだった。『教場』では片目が義眼の強面の眼鏡顔。ソレカ、評判が良かったのはと納得。

 最後のシーン、工事現場にいるキムタク、現場の作業員たちにからかわれ、笑顔を見せる、なんて笑顔が嘘っぽくて似合わない俳優だ。