リニア新幹線 | きつねの部屋ブログ版

リニア新幹線

  前静岡県知事の辞職に伴って行われる県知事選挙が昨日公示され、26日に投票が行われる。今回はもちろん「リニア新幹線」の静岡工区が争点になる。

 

 前知事の川勝氏が水脈のある南アルプスに掘るリニア新幹線のトンネル工事は、標高の高い静岡県から標高の低い山梨県にトンネルを繋げるとその全ての水が山梨県に流れてしまうと異議をとなえ反対してきた。甲府盆地と飯田の高さの差は200m近く、一直線に掘れば全部のトンネル排水は甲府に流れる。

 

 普通トンネルは水平に掘る、といっても標高差がある場合はなるたけトンネルから漏れる水を半分半分に分けるようトンネルの真ん中をやや高くしたり、または水量を考慮して排水が均等になるよう工事を進める。

 

 だが、南アルプスのように絶対的に静岡側が高い場合、同じような排水を行うとすれば現在の計画線よりもずっと南に線路を敷かなければならず、東名高速等自動車の幹線が走る区間近くまで南に下げ、当然遠回りとなり「新幹線」の意味は薄くなるし、工事の手間も多くなる。

 

 測量を変更してまではできないことは明白である。

 

 「意地悪」をしている静岡県知事は他の東海地区の県知事、市長からは恨まれていたといえる。といって工事がこのまま行なわれれば水の問題は川勝前知事のいうとおり大半は山梨側にいってしまい、人工的にポンプを使って静岡側へ戻す、といっても全水量を戻すことは不可能に近い。なんせ南アルプスであるから含水量は半端ではない。

 

 まだリニアが夢の段階であったころは誰もが現在の新幹線よりも早い鉄道があれば、とおもったことだろう。しかし今本当にリニア新幹線は必要なのか、と問われれば意見は以前のようなものではないのではないか。

 

 ほぼトンネルで移動するリニア新幹線。確かに東京、名古屋間(将来は大阪圏まで計画しているようだが)の時間的な距離が短くなったとしても観光客は景色は見えず、ただ移動が速いだけでビジネス使用が主となろう。

 

 将来ロケットで宇宙旅行ができるとなると、リニア新幹線のようになるのかなぁと想像したりする。退屈にならないようなそんな設備があれば別だが。あっそれでも宇宙船からの地球は観て観たいものだが、リニア新幹線はそうはならないか。

 

 あとは飛行機よりも手続きに面倒がなく空気の中を飛ぶわけでもないので安心感が得られる、それだけか。以前はビジネスでも人と人との面と向かっての話し合いは必要と考えられていたが、現在はネット会見でも可というケースもふえてきている。

 

 調印だけは人と人がということになろうが、その為だけにつくられる乗り物ではコストがかかりすぎる。昭和の時代につくられた交通事故防止の標語に「そんなに急いでどこへいく」というのがあったが、現在の新幹線や飛行機で間に合わない何かが今あるのか。

  

 もう日本の人口は以前のように伸びることはなく、経済も同様。移動時間が1時間短くなることで得られるメリットはあるのだろうか、とかおそらくわたしはリニアに乗ることはないので無責任なことながら、リニアにそれほどの関心はない。

 

 2027年開業予定が延長されて、おそらく早くて2030年ころか、いずれにしても、今度の静岡県知事選でリニア推進派が勝つであろうが、それほど魅力のある乗り物なのか、乗ることはまったく考えていないわたしが生きているうちにその結果をみたいものだ。

 

 リニア新幹線。無用の長物にならないようせいぜい利用して欲しい。