呑み鉄本線日本旅復活 | きつねの部屋ブログ版

呑み鉄本線日本旅復活

  岸田露伴の映画版は観られませんでしたが、『呑み鉄本線日本旅』の新作は観ることが出来ました。

 

 ナレーションの壇蜜さんの声、以前より明るく番組を包み込むような話しぶりはやはりあの方のもの。「ろっかくさんが……」という時、母でもなく、ましてや他人でもなく仲間、という雰囲気がよくでていて、といってなれなれしくもなくやはりこの番組のナレーションは壇蜜さんに限ります。彼女のナレーションは会話です。

 

 春先の四国。予讃線(香川県)高松から西へ松山(愛媛県)までの列車旅。コロナ期間中は列車の中でも遠慮して座っていた六角さんも今回は堂々といつもの発車時でのビールで乾杯。うまそうに飲んでました。

 

 まだ春早い四国、桜は咲いておらずそれでも瀬戸内の海風は温かい。出発と同時に流れるレギュラーソング「ディーゼル」。いつもこの歌を聞くとガタゴト揺れながらそしてディーゼルどくとくのエンジン音がちょっと都会生活に慣れない身を故郷へと運ぶ、心ならずもリフレッシュするために乗っている。

 

 いや本当は都会生活に合わない自分を再生するために落ち込んだ身に染みる車両の振動にちょっとと小さな嘘をつきながら、叱られるかもしれない父親の顔を観に行く心情がよくあらわれた歌詞で、地方を走るローカル線にピッタリの歌詞。

 

 「敗けたんじゃない、逃げるんじゃない、ほんのちょとつかれただけ」というのがのが泣かせる。

 

 こういうのは観光やビジネスに使われる新幹線ではありえない心情。前を向きながら目的地へ行く列車と、後ろ向きになりながらも前を向こうとする賢明さがにじみ出ている歌詞だ。

 

 そんなバックに流れる歌とは反対にローカル線を楽しむ六角さん。あかるいナレーションの壇蜜さんが背中を押してくれる。で、彼女は六角さんの行動を否定しない、これがこの番組の肝。

 

 「あらあら、そんなに呑んでもだいじょうぶ」と壇蜜さんが声をかけるが、優しい。

 

 この二人で成り立っている番組だとあらためておもった。おかえりなさい壇蜜さん。