明日はフィナーレ | きつねの部屋ブログ版

明日はフィナーレ

 『ブギウギ』も明日がフィナーレ。どうやらスズ子と羽鳥先生との仲も元に戻り、互いのわだかまりも溶けたようだ。

 

 このお話し、前半での大阪風のゴチャゴチャ、ワイワイで終わっていたらわたしは途中から抜けていたろう。しかし福来スズ子が大阪歌劇団に入学したころから「音楽番組」として楽しめてきた。

 

 草なぎ剛が服部良一、もとい羽鳥善一として登場すると彼の芸風である頼りなさがかえってスズ子の芯の強さを引き出して二人は絶妙のコンビとなる。

 

 これからが戦前と戦後を一気に駆け抜けた笠置シズ子の物語となる。といって彼女の生い立ちや境遇などを入れなければドラマにならないと制作側はおもったのであろうが、たしかに半年の長期にわたり歌手福来スズ子の歌手の後半生だけをお話しにするには間が空きすぎる。

 

 で大阪版朝ドラのお約束でワチャワチャと、出生の秘密があったわけだ。また大物歌手となったスズ子のスキャンダルを執拗に追いかける、みのすけのゴシップ雑誌記者の存在もイヤミな奴だが、スズ子を彼にというかスズ子を世間に本物のエンターティナーと認めさせることが彼の仕事。

 

 それはともかく彼女が芸能の世界に入ってから福来スズ子になるまでの経緯はドラマチックであったし、実際趣里の踊りも歌も魅せた。

 

 だからといってテレビではもう彼女の歌と踊りは観ることはないとわたしは思う。ミュージカル俳優になるのなら別だが、そういう道を選ぶかは彼女次第。

 

 あまりの当たり役で次に全く別の役を演じられない、ということがあっては女優としては辛いだろうし。

 

 後半の三か月の最終金曜日を視聴者は待ち望んでいたろう。あの細い体で舞台を駆け回り観客をスウィングさせてしまう俳優の趣里、わたしにとっては意外な配役であったが見事歌手趣里による笠置シズ子になっていた。

 

 わたしが子供の頃に視た(といっても映画だが)大阪のおばちゃんがよく通る声でワオーとか叫んでいたという印象しかもたなかったが、あのバイタリティは大阪で生まれ育ったからと納得できた。

 

 本当の笠置シズ子は趣里と違い小柄ながら幅もある人で声量が違う。おもろい大阪のおばちゃんであった。しかしそれを細い趣里が演じても歌の魅力、そして舞台を動き回ることで細い体をカバーしていた。

 

 偉そうに言わせてもらえば、近年の大阪版にしては出来が良かった朝ドラだ。

でもそれは歌に助けられたということになるのだろう。

 

 エンターティメントは心をウキウキさせる。このドラマを朝にもってきた制作者たたち、成功しましたよ。

 

 それと淡谷のり子こと茨田りつ子を演じた菊地凛子の存在もよかった。実際はわからないがドラマではライバルでありながらスズ子を批評する目をもち、結局スズ子が相談する相手はりつ子である。

 

 ま、後半はスズ子に寄ってきたが当初の「あんたの歌い方、わたしは認めないわよ」は効いた。これはこれで芯の通った東北人の典型であった。

 

 歌と踊りで週末を迎える、ほんとうにズキズキワクワクさせてもらった朝ドラであった。次、やりにくいだろうな。

 

 次は伊藤紗莉が主演の法科に進み女性裁判官になるお話しとか。戦前からだから男のイジメとかがあるのだろう。