買い物ブギ | きつねの部屋ブログ版

買い物ブギ

 「今日は朝から 私のおうちは てんやわんやの おおさわぎ」と謳い出しが始まり、歌詞の最後は「わて ほんまに よいわんわ」だ。

 

 なお「よいわんわ」は大阪弁で「わたし本当に”負けそう”」、という意味。

 

 「買い物ブギ」、今週の朝ドラではその曲の誕生を軸にしてドラマが進行している。昨日はスズ子の家のお手伝いさん(当時は女中さんといっていた)から羽鳥先生に行く帰り道で野菜を買ってくるよう頼まれる。

 

 それがネギ、ニンジン、ゴボウなどなど。で、羽鳥氏へ次の曲作りを頼み、帰りがけにそれらを買う。その話を聞いた羽鳥は何かを思いついてスズ子のブギシリーズへの新曲を発想する。

 

 これが笠笠置シズ子が「東京ブギウギ」、「ジャングルブギ」の大ヒットに続く「買い物ブギなる。今この歌詞をみるとかなりの長さのもので、そうだったか、と驚いている。

 

 歌詞がそのまま魚や野菜の買い出しから始まる庶民性、というかその当時の日本の母親の日常そのものを描き、大ヒットとなる。ご本人が母親であったということがこの曲を生み出したのだろう。ただし、本当にそうしたエピソードがあったかは知らない。 

 

 実にテンポよく、そして上に挙げた歌詞を並べ、「盆や正月」といって一年中で一番主婦が忙しい時期になぞらえた歌詞、そしてテンポ良いリズミカルな歌となってラジオから毎日流れていた。

 

 ということを子供の頃に知っているわたし。いくつなんだお前は、ハハ。とにかく耳に残り聞くたびにウキウキしてくる。大阪弁を丸出しで歌う笠置シズ子。戦後の同時期に天才少女歌手といわれた美空ひばりが、競うようにラジオに出演してようやく名が知られるようになるのもこの時期から。

 

 彼女は笠置の歌うブキを手本にし、歌手となる。『ブキウギ』で絵描かれた戦後の東京に沢山いた靴磨きの少年たちをモチーフにした「東京キッド」でヒットを飛ばし、彼女主演の映画にもなった。

 

 また靴磨きの少年は、女優で歌手の宮城まり子の「ガード下の靴磨き」にも歌われる。これ、今でもわたしは歌詞とメロディを子供心におぼろげに覚えていて、上の「買い物ブキ」も「東京キッド」も同様である。

 

 この「ガード下の靴磨き」には哀愁が漂い、何時聴いても泣けてくる。ガード下、夕日、墨(靴墨)で汚れたポケット、そして小さな札(金額の低い紙幣)等々。 

 

 そういえば後に美空ひばりが歌った歌で曲調が「買い物ブギ」に良く似ている「お祭りマンボ」があった。しかし歌詞は「買い物ブキ」が最後までテンポがよく明るいが、「お祭りマンボ」は~面白うて、やがて哀しき祭りかな~のような終わり方。

 

 戦後のアメリカ軍の占領期はまだ混乱していて、そうした時明るい曲や、反対に貧しさ、寂しさに共感する歌も多くあった。日本の高度成長期は戦後から15年たってから始まる。

 

 今週の金曜日には「買い物ブキ」が披露されるだろう。この歌のノリとテンポの良さは今でも通じるものがある。あっ、実際の笠置シズ子の声は趣里と異なり鼻にかかる声質である。