役不足 | きつねの部屋ブログ版

役不足

 この言葉以前、といっても平成のころだったか、若い人に聞くと例えばAという俳優がいるとして、「あのAは”役不足”だね」と行った時、役に合わない演技下手との意味で使われていた。が、それは誤用。

 

 元の字義は大物俳優本人が「役不足で…」といった場合は自らを卑下、まではいかずとも謙遜しているととっていい。役が重く、わたしなど到底演じられませんません、といったことに使われる言葉。

 

 実際にはオファーがくればよほど予定が詰まっているとか、嫌いな演出家だとかでなければ上のように謙遜と捉えて良いが今は流行らない。

 

 ただ人気絶頂や所属事務所が強ければ仕事は、向こうからやってくるのが日本の芸能界だ。

 

 また他人が○○さんにはあの役は役不足だ、も同様で充分演技力、人気があるのに格落ちの役しか回ってこないと、こういう言葉がでることもある。

 

 「役不足」は役立たず、とは真逆のことなのに、若い人達はそういう風に解釈していた時期があった。が、現在は元の演技力がまだ身につかない新人がやる役をベテランが演じると、あの役ではあの人の演技力が発揮できない、と元の意味に戻りつつあると聞いた。 

 

 人の評価は人によって様々。期待したのにあれっ、てこともあるし、意外とやるじゃない、ということもある。が長年演技の世界にいて名を知られた俳優は、演技力があるから長く演技の世界にいられる、それが事実である。

 

 「あの人は今」といわれるようになったら、役がどうのこうのではない。演技下手でも言われているうちが花なのだ。

 

 というわけで『どうする家康』を演じた松本潤はどうするのだろうか、いやどうなるのだろうか。