不適切にもほどがある2
ドラマ『不適切にもほどがある』は以前紹介した。宮藤勘九郎作のタイムスリップもので、宮藤得意のギャグを織り交ぜあながら場面が昭和男が平成と令和を行ったり来たりし、現在のコンプライアンス社会を揶揄し、いかに昭和から平成に掛けての時代が良くも悪くも、今の窮屈な社会とは異なっていたかということを笑いにするドラマ。
で先日の回は主演の安倍サダヲと仲里依紗との関係性が顕かになり、わたしドラマの終盤に不覚にも涙を流してしまった。
途中までは驚きの連続。宮藤独自のドラマ構成の妙はさすがだと思わされる。昭和男安倍サダヲ、高校教師であったが帰宅するために乗ったバスがなんとタイムマシン。
自分が知らない世界である令和へと連れていかれ、そこで昭和とは異なるコンプライアンス重視の放送界の顧問となって、とにかく生き残る。
昭和に残してきた一人娘高校生の河合優実のことが気になるが、彼の前に当時通っていたスナックに、アルバイトに来ていた赤ん坊の女性仲里依紗に惚れ、付き合おうとする。
彼女の本業はテレビ局のサブプロデューサー。出会った瞬間から互いに運命を感じ、付き合うことに。しかしエレベーターの中で抱擁しキスとしようとすると二人の間に強烈な電波が走りそれが出来ない。
安倍サダヲが昭和の世界に残してきた娘の写真を見せると仲里依紗はハットして、現在心臓の病気を抱える父親古田新太を紹介した。その古田、安倍の事を「おとうさん」と呼ぶ。
何かの勘違いかとおもったが説明されるとどうやら平成時代の安倍の娘と関係があるようで、話しが進んでいくうちに判ったのは古田は、安倍の娘が家に連れて来た、ディスコの黒服青年(錦戸亮)だった。
彼はディスコで頂点に上り詰め多数の女性とも付き合ったが安倍の娘と結婚したいと、安倍に挨拶にきたのだ。当然水商売の男に嫁にやれるか、と断った安倍。しかし彼はまともな商売に転向するからと安倍に約束し、その時には既に娘のお腹には赤ちゃんがいた。結局結婚は認められずだったが、娘は青年と一緒になり家をでていった。
そして数年後その青年は彼の父親が経営していた神戸のテーラーを継ぎ、安倍の娘との間に女の子が生まれた。
そして令和に話が戻る。古田が安倍をお父さんと呼ぶのは安倍の娘と結婚していた青年だったからで、仲里依紗はその娘、つまり安倍にとっては孫。これには安倍もびっくり。だから血縁がつながっていたので二人の間が接近すると電気が走るのだった。
そして古田が今東京でテーラー店を東京郊外で開いていてどうしてもスーツを作らせてほしいと安倍にいう。では自分の娘に逢えるのかと問うとそこはあいまいに仲里依紗とともに答える。
そしてお話はまた平成に戻る。孫娘がいると聞いた安倍は娘夫婦の何度かの説得で神戸にある彼の店に来た。初めて孫娘との面会、そして妻となっている娘と夫である錦戸に歓迎され、スーツを作ることに。服は1週間後にできるといわれた。
寸法をとり、翌日の明け方娘に駅まで歩いて送ってもらう安倍。その日は1995年・平成7年1月17日。そう『阪神淡路大震災』当日である。
令和の安倍は娘を失い、おそらく父親である安倍自身も…。
そして再び現代に話が戻り今の東京郊外でテーラーを開く古田。あの時の採寸で当時作ったスーツを29年ぶりに古田が安倍に着せる。喜ぶ安倍。そのぴったりと合ったスーツがまた泣かせた。
タイムスリップものだけれどもこんな展開、笑わせておきながら宮藤勘九郎はズルイ。
能登半島地震も1月でしたね。この作品が収録された頃には予想もしなかった能登半島地震。被災者の皆様方にはこのドラマどう写るのでしょうか。
架空の世界と偶然にも連動した現実の出来事。なにか考えさせられます。