実はですね…… | きつねの部屋ブログ版

実はですね……

 『ブラタモリ』ではご存じのようにタモリとアシスタントアナンサー、そして訪れた地元の解説者の3人がセットで画面にでてくる。

 

 パターンはだいたい解説者が「この地形、地質、もしくはなぜこの土地が全国に知られるがようになったか」、などのタモリが訪れた土地に関する質問をし、タモリが答えるという形式になっている。

 

 タモリがズバリ回答すると、解説者は唖然として、「さすが、よくご存じですねぇ」と感嘆し、視聴者は溜飲を下げる、のがお約束。

 

 その質問が当たっても、外れても必ず解説者が開設をする時に口にする言葉は「実はですねぇ……」である。

 

 解説者という人達の「実はですねぇ……」は、自分の知識を披露する枕詞として多用する傾向があって、それあってこそ次の流れに番組が進む、という具合だ。

 

 城郭考古学者の奈良大学教授千田先生も番組で現地の城を案内するときには、聴き手のアナウンサーに何度この言葉を発するか。しかし全然嫌味に感じないのは先生のお人柄。

 

 で、話しは「実はですね」に戻すが、そういう解説者の説は「実」ではなかったということもある。実際に研究をしている人が発する言葉は真実に近いが、ものごとが古くなればなるほど起源がわからず、「実」かどうかが解らないということがある。

 

 最近こうした検証番組でも旅番組でも「……といわれております」、という言葉の画面の下に「諸説あります」とのテロップがでる。

 

 バラエティのクイズ番組でも「○○は△△である」との答が正解となっても「諸説あります」とのテロップはでる。

 

 過去のこと、特に言葉の発生などは起原がわからないことが多く、文化が異なり交通の便が悪かった時代には同じものを別の言い方にするということは当然あった。

 

 「らんまん」のモデルになった槙野富太郎博士はその新種植物の名を図鑑にのこしたのであるが、これこそ「諸説」はなく唯一無二で、学問というものはその絶対性を求めるものと感じる。学名は世界共通の言語、和名は日本だけに通じる言語。しかし学名がるので普遍性は高い。

 

 例えば山登り番組で、案内人が花をみつけ、「この花は○○に似ているからこの名になりました」といってもテロップには「諸説あります」とされる。

 

 視聴者から異論がくるからでもあろうが、名前や由来はほんとうに諸説あって、こう、とはきめられないものであると、感じております。