早乙女 | きつねの部屋ブログ版

早乙女

 「早乙女」とは田植えの時に苗を植える女性たちのことだ。いまでこそ男性も女性も関係なく田植えをおこなう、というか現在は機械で苗を植え付けることが多く人力というのはセレモニーか、千枚田のような傾斜があり田一枚一枚が狭く、変形になったような田でしかおこなわない。

 

 女性が田に苗を植える習慣は古代からあったようで、先日放送の『チコちゃんに叱られる』では、柏餅の柏はなぜ餅に巻く、といった出題がでたさい、先生がこうした女性が田植えをする習慣から始まった、と解説した。

 

 古代ではおそらくだが神聖な田植えは女性が苗を植えることで神もそれを奨励すると考えられていたからだろうとわたしは推察する。

 

 子を産む女性、その神秘な行動がその理由だったと思われる。苗を田に植え付けそれが枝分かれをしたくさんの実をつける、そうした願いがこもっていたのではないか。

 

 こうした田植えやその管理をする時に昼食は、樹の葉に包んだどの食べ物を田や畑の中で食べたようで、特に田植えのときにはお祭りなので普段口にしない神聖な米や餅を葉に包み、田植えをする女性たちに食べてもらったのではないかと思う。

 

 そうした習慣は日本各地にあって場所場所で中身は違っていたろうが、現在のご当地食の原型となったという説もある。

 

 これが元は武士や名家の跡継ぎである男子の成長を祝う尚武の日、現在の子供の日に繋がり、当日には柏餅を食べる習慣につながった、と先生はいう。

 

 でおもいだした。現在ではあまり歌われない「夏は来ぬ」の歌詞のなかに~早乙女が裳裾濡らして~がある。

 

 この早乙女は若い女性のこと、嫁入り前の女性が田植えをすると豊作になると考えられたからだろう。裳裾とは着物の裾部分のことで、実際には女性の下着(パンツなどなかった時代直接腰に巻いたケダシ、お腰ともいう)のことで着物が濡れないように端折り、赤い腰巻が見える姿を言った。

 

 参考に黒澤明監督作品『七人の侍』のラストシーンでそれがでてくる。

 

 こうした女性たちが横一列になり田植え歌を歌いながら男が打つ太鼓や歌に合わせて苗を植え付ける光景は日本のどこででもあった光景だったろう。

 

 そんな光景をもう観る機会は無いが、おそらく戦前まで残っていた風習だったのではないか。

 

 と、そこまで考えられる「柏餅」の発祥由来である。