映画ペンタゴンペーパーズ
ビデオに録り置いた映画『ペンタゴンペーパーズ/最高機密文書』を観た。ベトナム戦争が泥沼化しいつ終わるとも知れぬ状況の中、アメリカ政府は今だ戦争継続をしていた。
そんな中1965年に当時の国防長官マクナマラは現地を視察、詳細な報告書を作成した。軍事アナリストであったダニエルは戦場を分析しマクナマラに伝えたがこの報告書が公になることは無く、しかしダニエルは密かに文章を持ち出しそのコピーを録る。
そしてニクソン大統領の時代になって、戦争への疑問や反対が民間から出始めて戦争の意義は何なのだという声が広がってくる。
そんな中ニューヨークタイムズ紙がダニエルの文章の一部を入手し新聞に掲載、ジャーナリズム界を揺るがし政府から発行禁止を言い渡された。
これをライバル新聞社であったワシントンポストも注目、そんな文章があるのなら是非自社で全編を手に入れたいと編集長(トム・ハンクス)は思う。
しかし、ワシントンポストは先の社長が事故で亡くなり、その未亡人(メリル・ストリープ)が社主となったばかり。また株の公開をする手続きが終わったばかりで危ない橋を渡ることには消極的。
この記事を載せたばかりに時のニクソン政府から懲罰としてジャーナリズム界に今後同様の記事を掲載することは禁止された。しかしワシントンポストも真実を明らかにしたい気持ちはニューヨークタイムズと同じだった。
そんな中、突然一人の女性が例の文章の一部をワシントンポスト社に持ち込んだ。
と、ワシントンポストの社員がこの文書のコピーをもっているのが知り合いのダニエルではないかと突き止めた。彼はダニエルと接触し、文章のコピーの全てを受け取る。
文章は出所がわからないようにページは切り取られバラバラ状態。が、編集長の命令で文章のつなぎ部分を探して一連の流れを復活させる。
さて問題は掲載できるか、ということだが、先のニューヨークタイムズのように出版停止処分を怖れる重役たちはこぞって反対する。また社主が個人的に親交のあるマクナマラを裏切るようなこともしたくないと悩む。
しかし発行直前、ニューヨークタイムズの文章ソースと同じものであったら裁判所からは発行禁止命令違反に問われる。それでも発行するかの判断をせまられる。
既に原稿は印刷に回されていて翌朝には販売されるギリギリの時間になっていた。しかし悩んだ末、オーナーは「発行」と決断した。
結局記事は発行され世間はベトナム戦争の実態を知ることになる。
そして議会の公聴会にワシントンポスト社とニューヨークタイムズ社は「政府の秘密を世間に暴露した」との「罪」で呼ばれて違反行為をしたかが審理されたが、社会的利益にかなうとして無罪を勝ち取る。
でラストはあるビルに侵入者が入ったとの画面になり、そのビルの名は「ウォーターゲート」。
メリル・ストリープのもの静かなオーナー、そして熱血編集長のトム・ハンクスの演技がドンパチがいっさいない映画でも充分サスペンス溢れる映画になることを示した。
すこしアメリカジャーナリズムを褒めすぎのところもあるが、静かな演技でもカタルシスは得られることを証明した、そんな映画だった。