ウクライナの勝利とは何か | きつねの部屋ブログ版

ウクライナの勝利とは何か

 ロシアとウクライナの戦争が始まってから間もなく一年になろうとしている。

 

 今だ停戦の機運は無く、現状ではウクライナ軍の善戦はあるものの、ウクライナはロシアの物量に押され気味だ。

 

 以前ここにも書いたように、とにかくロシアとウクライナでは国としての規模がちがいすぎる。

 

 人口はロシアが14億人超、ウクライナ4千3百万人程度。1人当たりの、GDP(PPP) においてはロシア2万8千ドル、対してウクライナは1万3千ドルとロシアの半分である。

 

 しかもロシアは天然資源が豊富でそれで稼いでいるが、ウクライナは農業国であって穀物輸出が外貨を稼ぐ主な手段。それも戦時下では以前に比べ輸出量は微々たるもの。戦争によって生産力はがた落ちだ。

 

 ウクライナの兵器は旧ソ連製のものが大半で、消耗率がロシアに比べて少ないとはいえ、兵力差はかなりある。

 

 欧米の支援なしにはこの先ウクライナはロシアと闘えないことは、初めからわかっている。

 

 ウクライナの一番の弱点は、ロシアが国境を越えて侵略してきたのに対し、防衛戦しかできないことだ。

 

 攻勢に出るといってもあくまでもウクライナ国内だけの話し。ロシア領へウクライナ軍が攻め込むことはできない。

 

 これは国という城に籠った闘いと同じ構図。

 

 居城戦ではいくら持ちこたえても勝利には繋がらない。居城戦で勝利するには後詰が必要で、それがNATO、アメリカ、EUなのであるが、兵器は供与してもらっても兵はださないので、やはり長くは持ちこたえることはできないであろう。

 

 武器と戦闘意欲があっても国民は次第に疲弊していくし、兵士もロシアに比べれば予備は乏しい。

 

 ロシアは国連の決議にも耳をかさないし、プーチン大統領の意思でクライナが白旗をあげるまで、戦闘は続けるであろう。

 

 ロシアの損失が大きいと報道されるが、短期的にも長期的にもロシアが戦闘を止めない限り停戦はない。ウクライナはどの辺りが「勝利」といえるのか、考えねばならない時期にきている。

 

 日本人、いや国際社会やロシアを陰で支援する中の一部の国を除いて、この戦争は早期終結を望んでいる。もちろんロシアがウクライナに屈服するのが理想だが、現実的とはいえない。

 

 停戦、終戦のためには、ウクライナへの武器供与だけでは解決しないであろう。

 

 今、ウクライナ人の意識はウクライナの勝利で終わることを望んでいる。しかし、現実的にはウクライナ人も多大な犠牲者をだし、いまだにその数は増えている。

 

 自分たちの国を侵略するロシアが悪なのは間違いはない。しかし、これ以上ウクライナ人の犠牲や国土を荒らされるデメリットを少なくする方法は交戦し、勝利を得るだけなのか。

 

 一気に決着を望むと、それこそ核の使用もありうるかもしれない。

 

 冒頭に書いたように、ウクライナとロシアとの国力やまた資源力の差は歴然。なにか戦闘以外に戦争を終結させる方法はないものか。

 

 ロシアが「ならず者国家」に堕ちたのは顕かだが、国際社会の制裁が機能しないかぎりはプーチンの意思で闘いは続く。

 

 他国の人間でもそう考えてしまうし、わたしたちが何もできないことも辛くおもえる。