ウクライナ軍一部領土奪還
ウクライナでの戦闘。夏場のウクライナ東部戦線と南部戦線では膠着状態が続いていたが、ここにきてウクライナ軍が東部の要衝であるイジュームを奪還、南部地方を含め茨城県に相当する地域をロシア軍から取り戻した。
まだこの戦争の決着には程遠いのだが、明確にウクライナ軍が自国領土を大幅に奪還したことは奮闘したウクライナ兵士や、ウクライナ国民にとり朗報であることはまちがいない。
直接の勝利に貢献したことはおおきく2つ。ひとつはアメリカなど支援国からの武器の性能が発揮されたこと。そしてウクライナ軍兵士の士気だ。
祖国防衛に燃える彼らは、プーチン大統領一人の野望だけで始めた戦争についていけないロシアの一人一人の兵士たちに、心理的に勝る。
ロシアの兵士は何のために戦場に連れていかれたかもわからず、ただ闘ってこいと命令され他国へいかされた。
その中にはロシア中央政府とはまったくかけ離れた地で招集された軍の兵士も大勢いて、例えば旧ソ連邦に属していたモンゴル系のブリアート人、ロシアと独立戦で敗れたチェチェン系などの兵士たちが含まれ、一体感がなく統一した行動もとれなかったことが一因ともいわれている。
こうした貧しい地からきた兵によくあることだが、敵地に侵攻すると私掠に走り略奪や殺人、強姦などの戦争犯罪を犯す危険性は大きく、事実3月のキーウからの撤退直前にはキーウ周辺の村の多くのウクライナ住民が彼らの犯罪の犠牲者になった。
それはそう。兵隊といえども自分の命が危うく、明日生存しているかわからなければやけを起こして犯罪を犯す。
それを止めるのが上官の役目だが、ロシア軍は伝統的に自分の兵を信用せず常に前だけを向かせ特に咎めることはしない。
相手に心理的なダメージを与えるため、むしろ上官が兵をそそのかすこともあり得る。
もちろんこれはロシア軍にかぎったことではない。戦争というものは人間の生の姿をあらわにするものだからだ。
直接兵士同士が顔を逢わせて闘うことが少ないないのが現代戦。航空機、ドローン兵器、ミサイルなど相手を見ずとも攻撃できる武器が更に戦争を悲惨なものにする。
プーチン大統領は一度ソ連邦から離れ独立したウクライナの全土、もしくは一部をロシア領として回復したくて今回の戦争を始めた。なので不毛の地にしては意味はない。
いくら相手の地を破壊しようとそれは占領したことにはならない。領土を保全しておくには最終的には兵士同士が銃を向け合って戦いの決着をつけるしかない。
以前わたしはこのブログに兵力に勝るロシアが時間はかかっても勝利するのではないか、と書いた。
しかし今般のことから考えるとロシア軍の士気の無さを露呈し、本当にロシア軍はプーチン大統領の思惑通りに動くのか、という疑問を感じる。
兵たちに厭戦ムードがひろがれば闘いにならない。
後方の安全なところにいる最高司令官であるプーチン大統領。果たして安泰でいられるのだろうか、と。
まさに戦争は戦場でおこっていて、プーチン大統領の頭の中だけでおこっているのではない。