焼き畑農業 | きつねの部屋ブログ版

焼き畑農業

 先週放送の『cool Japan』では、地球環境を持続可能とする運動であるSDGsを支援するため、今回は「陸」をテーマに3つの例をあげて外国人たちがディスカッションをおこなった。

 

 1例目は「明治神宮の森」。ご存じの方もおおいだろうが、明治神宮は明治天皇を祀っている神社で、その場所は当時陸軍の演習地だったところ。つまり何もない草地だった。官地であるから候補地に選ばれた。

 

 ここに神宮を造営するにあたり、周辺を鎮守の森にする計画が同時進行し、150年を見据えて植樹が行われた。今の姿になることは最初から見据えられていたことになる。

 

 それが現在の「明治神宮」の森である。このことは「ドキュメンタリー」で紹介されることは過去に何回かあったが、実際にこの番組の出演者でもある外国人パネラーが取材をし、そのことについて放送を目的に外国人たちによりディスカッションされたのは多分はじめてのことかとおもう。

 

 次に紹介されたのは東京は大田区にある下水処理場の屋上に巣をはったアジサシ。ここは人工島で下水処理場の広大な屋上にアジサシの営巣地を作るプロジェクトの結果、成果を上げている場所である。

 

 天敵などを排除するために工夫をしてはいるが、余りやりすぎずそれは自然に任せる、見守るという姿勢をとっている。この活動は複数の自然保護団体が東京都などへ要望して実現した。

 

 会員たちはただ見守るだけで、強制的にアジサシの天敵となる他の野鳥やハクビシンなどの小動物に対しワナをしかけることはない。

 

 それでもアジサシの営巣地として定着、毎年何羽かの雛が巣立ち十数年たち、実績を上げている。

 

 3例目が標題にした「焼き畑農業」。これは九州宮崎県の四方を山に囲まれた平地が極端に少ない椎葉村で長い期間行なわれている農法。

 

 焼き畑農業そのものは日本ばかりでなく原始の時代からおこなわれていて、この村がそれを現代まで残しているのは奇跡的といっていい。

 

 それを可能にしているのは限られた区間を決めて行われているからで、樹木を伐採した斜面地に水の必要のないソバなどを植え、次の年はヒエかアワなどの雑穀、次に小豆、更に大豆と連作障害を避け種類を変え植えて、4年を限度に耕作し、その後は植林をして再び森にかえるまで耕地を休ませるというサイクルで行っている。

 

 未耕作期間を25年としたことが、成功し、持続できた鍵である。

 

 これができるのは輸送が確保でき、生活はそれら外から入る物資で賄える現在だからこそであろう。とはいえ、こうした農法が残ることは人類にとっては立派な遺産であるし、持続可能な農法ともいえこの地に憧れる若い人たちも移住し、このシステムを維持している。

 

 これら4つの例を外国人たちがディスカッション、特に焼き畑農業には参加者全員の賛同を得られた。

 

 明治神宮の森は将来を見据え、森そのものの成長は自然に任せ人の手はくわえてない。またアジサシの営巣地も最低限人の手で守られているとはいえ、やはり監視することだけを重点としている。

 

 実際の話し、経済が絡むとこのようなことはできず、果たしてこの運動自体は永続するのかと思うわけだが、しかしそうしないといつか人類は滅ぶか、地球に住めなくなることは確かだ。

 

 こうした取り組みを特別な事としなければならない現代社会の問題を、つきつけた事例である。