Blue春編 | きつねの部屋ブログ版

Blue春編

 待望の『京都人の密かな愉しみBlue修行中「祝う春」』が放送された。ドラマ構成は前回と同じでそれぞれのひよこたちが更に成長していく姿を描く。

 
 今度の季節は、二月のまだ寒さが残る梅の花の咲く前の早春からはじまり、桜の咲く春本番まで。その中で京都の歳時(催事)を織り込みドラマとドキュメンタリーとを混ぜ込みながらシームレスでつないでいる。
 
 さて、今回は春がテーマ。でてくる歳時は二月二日の節分前日におこなわれる吉田神社の「追ナン式」(ナンは人偏にに難)、つまり鬼を都に入れない儀式から始まり、そして節分の日には京都の角にあたる北東(鬼門)、南東、南西、北西(裏鬼門)にある四つの神社や寺で行われる鬼を追い払う節分祭が紹介される。
 
 この日の夜、花街では芸子たちが「お化け」と称して仮装をして客の前にでることを許され、これにより鬼を欺き厄を払うといった年に一度だけのお遊びの日である。
 
 そして年越しし、立春を迎える。京都は新暦ではなく旧暦で歳時をいまでもおこなっていて、節分は冬と春を分けるだけでなく、その翌日の立春は元日でもあり、京都人はこうして季節を生活をあわせる文化の中にいる。
 
 初牛の日には大根炊きを食べ一年の無病息災を祈る、その後に咲くのが梅だ。京都人は桜より梅を好むという。理由は華やかさでは桜に負けるが、匂いを発することと、佇まいが雅だからだろう。主張せず、でもどことなく存在感は桜には負けていない、そんな風情が好まれる。
 
 迎える三月三日の上巳の節句(ひな祭り)、この日は女の子のお祭りだが、男女とも関係なく行われる儀式が三月十三日の「十三参り」。数え年十三歳になった子供がこの日から成人になったということを本人に自覚させ世の中にしらせるもので、今までの成長とこれからの無事を祈るために寺などにお参りする。京都人にとっては七五三の祝いよりもこちらのほうが印象が強いという。
 
 で、最後は桜が爛漫に咲き誇るところで今回の歳時はおわる。
 
 肝心のドラマのストリーはというと、庭師見習いのケント幸太郎は、いつものように京都の季節やその行事を解説しながら友人たちがそれとどうかかわっているかを話していく。
 
 陶芸家見習いの釉子は春の陶芸展に向け題材としては難しいといわれている梅にきめるが、父親に反対され、自分の技量にも自信がなく悩むが……といった展開。
 
 パン職人の葉菜は注文のあった喜寿の祝いのパンを創作するため、試行錯誤を繰り返す。
 
 板前見習いの甚、ようやく焼き方から煮方に昇格するもまだまだ板前の道は遠く、とにかく頑張っているが彼の憧れである料亭の女将(高岡早紀)の夫で行方不明だった冨美夫(浪岡一喜)が突然店に表れ大慌て。
 
 農家見習い鋭二は注文を受け、一人山の奥へと山菜取りにいく。どうやら大学時代に山岳部でなんらかの事故があって自分のせいだと思っている様子。京都の祖母の家で農家を継ぐために戻ってきたのはそれがあるかららしい。
 
 いつものおなじみ料理コーナー、この番組の料理監修をしている大原千鶴氏と松尾郷アナとの軽妙なやりとりで毎度ながら安心して視ていられる。
 
 そして前回のエドワード(団次郎)に代わり今回は久楽屋春信の大女将である銀粉蝶がケントの母が経営するバーに来店、先のシリーズとのつながりを強調していた。
 
 若者たちの修行中の話ばかりでなく、東男に京女、京の歳時記などいつものように京都人たちの生き方には長い歳月の裏付けがあるということを知らしめてくれるドラマ&ドキュメンタリーである。
 
 役名と俳優名については2017年10月10日の記事をみていただきたい。