本日、Hさんから重要な話を聞いて来ました。
ハーレーのエンジンをOHする際、絶対に外せないにも関わらず・・・
圧倒的に実行されていない、恐ろしい現実について。
「的のど真ん中」を射た、そんな内容をお届け致します。
少々マニアックな内容になりますので、興味がある方のみお付き合い下さい。
まず、仮のカムを装着して、不具合を見ていきます。
カム〜ロッカーアームの動きを司る、重要な役割を担っています。
これがロッカーアーム。
カムがプッシュロッドを持ち上げ、ロッカーアームがバルブを押すような動きをします。
画像で言うと、左下付近と右上付近にナナメに伸びたアームがあり、そのうちの・・・
左下のアームがプッシュロッド、右上のアームがバルブへ。
分かりやすく言いますと、カムがプッシュロッドを上下させ、バルブを上下(開閉)させる・・・
そんな仕組みとなっています。
で・・・ここからが最重要ポイントです。
ロッカーアームの画像を、じっくり見てもらうと分かると思いますが・・・
それぞれのアームの長さは、全く同じ長さではありません。
全く同じ長さなのは、ナックルのみ。
あとは全部、長さ(つまり比率)が変わってきます。
それを念頭に置き、カムのリフト量(カムの高いところと低いところの差)を導き出し・・・
その比率を掛け合わせ、バルブの動く量(長さ)を算出します。
ショベルのロッカーアームレシオは・・・
1.425
この数値は、決まりものです。
ロッカーアームの画像に戻りますが、左下のアーム長が「1」とすると・・・
右上のアーム長が「1.425」、つまり・・・
1:1.425
・・・となるので、カムのリフト量が例えば7mmだったとすると・・・
7×1.425=9.975
四捨五入して、10mmとなり、これがバルブの動く量(長さ)となります。
*あくまで一例です。カムにより個体差があるので、必ず計測する事になります。
バルブはスプリングを介してバルブガイドで固定されますが、この時のバルブリフト量は上記の例で算出した値・・・
10mm以上は最低限確保していなければなりません。
いや、10mmだと全く余裕がないので、せめて11mmくらいは確保したいです。
ところが・・・です。
いざバルブを固定して、リフト量を計測してみたら・・・!!
9mmしか、移動量がなかった。
・・・
つまり、バルブは最低10mm動こうとするのに、実際は9mmしか動けず、残りの1mmは逃げ場を失う訳です。
まず、これが「エンジンが壊れる一因」となる訳です。
実際の測定方法は、ここでは割愛しますが・・・
別に難しい事でもなんでもなく、基本に沿った普通の作業だと、Hさんは言います。
Hさんから聞いた話ですが・・・
「ショベルはリフト量が9mmあれば良い」
・・・と主張する自称内燃機屋さんがいたそうです。
どんなカムであろうと、ショベルは9mmリフトされれば良い・・・という意味合いにも取れる主張。
実際のリフト量が、例え11mmだろうが12mmだろうが、ショベルは9mmあれば良いという、謎の主張。
ロッカーアームレシオを理解していない証拠です。
それぞれのエンジンで、ロッカーアームレシオは決まっています。
調べると分かりますし、そもそも内燃機屋を自負するなら、最初から理解していなくてはいけない。
それだけ重要な事であるにも関わらず、理解しているお店は、ごく一部。
そんな事実に危機感を覚えます。
が、実際は自分には無関係な話です。
ただ、ハーレーのエンジンをOHする際、お店に確認すべき必須事項として・・・
覚えておくのと、いないのとでは、雲泥の差があります。
そして、動画を見る限り、あまりにも多くのお店が勘違いしている事実。
芯出し=バランスを取った・・・などと、大きな間違いを犯しているお店。
「・・・大丈夫なのだろうか?」・・・と、甚だ無関係ながら、心配になってしまう。
だってねえ・・・
そのお客さん、かなりの額を払ってるんですよ・・・!?
にも関わらず、バランス一つ取っていないにも関わらず、あたかも「バランスは取りました」などと言っちゃうお店。
やってもいない事を、やったと言ってしまってるんですよ。
遅かれ早かれ、何か起こります。
例えば・・・
ショベルヘッドのエンジンをアメリカから取り寄せて、「ショベルは9mmだからなどと言って、リフト量を見誤る」事になったら。
もしそのエンジンにハイカムが組まれていたら・・・?
9mm程度では、全然リフト量が足りません。
ショベルは9mm・・・と、なんの根拠があって言ってるのか。
つまり、カムの高低差を計っていない。
内燃機屋さんとして、ハッキリ言って失格です。
大事な愛車のOHを依頼するなら、確かな知識と技術を兼ね備えた、そんなお店に依頼したいですよね。
さて・・・
近日中に、エンジンがフレームに搭載されるかな・・・!?
( ^ω^ )