ダミーウエイトをフライホイール一枚一枚にセットして・・・
バランスを取っていきます。
この行程こそが、「バランスファクター」の真骨頂です。
この、バランスを取っていないお店・・・かなり存在します。
次回以降で紹介していきますが、メインシャフトの所謂「芯出し」をするにあたり・・・
「芯出し」したから、イコール「バランスを取った」と勘違いしてしまっているお店。
そのようなお店があった、としたら・・・全然ダメです。
バランスと芯出しは、まるっきり別物です。
それを理解していないお店、かなり存在します。
芯を出したからと、そのままバランスを無視して組まれたエンジンは、一体どうなるか・・・!?
乗用車のタイヤで例えると、ホイールバランスを全く取っていない状態と同じです。
必ず、どこかしらの速度域で、激しくジャダーが起こり、正直乗れたモンじゃないです。
構造上、どうしても発生する振動とはまた別の、不要な振動が発生します。
必ずその異変に気付くはずです。
一例を挙げると・・・
ピストンピンが、走行中何度も抜けてきてしまう・・・とか。
実際に起こった事例ですが、これもまさにバランスファクターを無視した結末です。
ピストンピンが抜けるなど、あってはいけない事ですが、何度も繰り返すという事は・・・
そのメカニックが、バランスを取る事の重要性に、全く気付いていない証拠。
だから何度も同じ症状を誘発してしまう。
ちなみにその症状、Hさんが対処して以来、ピタっと収まったそうです。
この、「ハーレーダビッドソン バイブル」に、基本的なバランスファクターについて詳しく綴られています。
全てのショップさんが、このバイブルを読破していれば・・・
と言うより、ハーレーのエンジンをOHするなら、読破していなければならない。
そうでなければ、無闇にエンジンなど触れてはいけない。
高額な費用と、年単位の長期間をもって、外注に出すしかありません。
これが出来るようになれば、エンジンのOHが出来れば・・・
費用と期間の大幅な短縮に繋がり、ユーザーさんの負担も軽減される訳です。
で・・・動画で紹介・・・ではなく、画像のみの紹介ですが。
何度も平均値を算出して、やっと導き出したダミーウエイトの数値を元に、フライホイールにセットして・・・
ちょうど、ダミーウエイトの反対側に、ドリルで掘った穴が三か所、確認出来ると思います。
つまりこれが・・・
ダミーウエイトとフライホイールのバランスを取る為に、今回ドリルで掘って重量を調整した動かぬ証拠です。
三か所のドリル穴は、今回の調整で開けた穴で・・・
要は、「掘った付近」が最も重く、掘る前は振り子のように大きく振れた・・・ってコトです。
ダミーウエイトが、どの位置でも静止していなければならない。
この振れを止める事・・・これこそが「バランスファクター」の真骨頂なワケです。
なぜ、ここまで細かい事をしなきゃいけないのか。
ここで上記の「車のタイヤのホイールバランス」の例え話に繋がる訳です。
バランスが取れていないエンジンは、どこかしら・・・
クランクピンや、コンロッド大端部のベアリングの損傷に繋がり・・・
異音となって現れ、やがてブローしてしまう。
新車で購入するなら、ともかく・・・
旧いハーレーを、これからも長く乗ろうと思うなら、やっぱりOH抜きでは語れませんね。
ちなみに、フライホイールのバランスを取っている画像は、二枚しか貼っていませんが・・・
実際はもっと多く、何か所も確認しています。
その様子を動画で公表している人もいらっしゃるようですが。
そもそも肝心なのは、そこに付いているダミーウエイトの重量を、どうやって算出したか。
きちんとしたエビデンスがあっての数値なら良いですが。