昨日の続きです。
エンジンハンガーのワンオフ加工に続き、オイルタンクのワンオフ加工の紹介です。
このタンクも多くの既製品が出回っています。
手っ取り早いのは、そういう既製品を使う事ですが。
きっと・・・Hさんの「職人魂」に火がついたのでしょう。
オイルタンクもワンオフで作ってくれる事になりました。
で、タンク形状は、大きく分けて・・・
純正タイプ
バレルタイプ(樽型)
の、2パターン(独創的な形状のワンオフタンクは除く)。
純正タイプは、過去の愛車エボを彷彿とさせるもので・・・
そうした連想を、今回は払拭していきたい、と。
そういう思いから、今回はバレルタイプのオイルタンクに決定しました。
まぁ・・・このバレルタイプのタンクも、既製品にありますが・・・
あえてワンオフで作成するところが、いかにも職人魂なワケで。
前々回の記事に、材料としてのタンクを掲載しました。
今回は・・・
片方を、まぁ~るく膨らませたような「フタ」をして・・・
ちょっと、フレームに当てがってみましょう。
ちなみに、この丸いフタですが・・・
Hさんの所謂「叩き出し」による、丸い成型です。
鉄板を叩いて、形状を変える事の難しさは、板金経験者でしたら分かるハズです。
自分もいたずらに経験してますが、もう難しいったらありゃしない(汗)。
ちなみに、細かい凸凹が生じた・・・として・・・
それを「パテ盛り」で消す・・・というのは、板金加工としてはちょっと難があります。
熟練の板金術を持ってるなら、パテ盛りは不要です。
で・・・位置的にも、だいたい画像のような位置で。
このタンク、スチールなので、なかなかに重たいです(汗)。
一枚撮ったら、すぐ下ろします(笑)。
で・・・実はここからが本日の本題です。
オイルタンクの下に、ミッションケースが見えると思いますが・・・
このミッションにも、少々歴史があるようです。
年式は、残念ながら特定までには至らず。
ラチェットトップなので、70年~84年の間。
で・・・
トップカバーは、驚きの純正品!
更に、キックカバーも純正品!!
そして、なぜかそれぞれ年式が違うという・・・
(ケース裏面にナンバーが刻印されていて、そこから年式を特定可能)
トップカバーは、なぜかショベル世代より更に旧く・・・
キックカバーに至っては、トップよりも更に旧いという事実。
推測するに・・・
「現地のアメリカ人ビルダーが、悪く言えば『ありあわせ』でカバーを取り付けたのかも」
・・・
まぁ・・・そうでなければ、ここまで年式がバラバラにはならないです。
で、この年式に徹底的に拘るマニアも、ビンテージハーレー好きの中に多く居ます。
「ナンバーは揃ってなきゃ、価値が無いだろう」
といったノリです。
そういう人達はもう、当時のままの・・・
それこそ「ネジの一本」まで、当時のモノを使いたがるんですね。
自分はとても、そこまで拘る気が無いので。
現代のネジで充分でございます。
そうそう・・・ネジで思い出しましたが・・・
ステンレスのネジ・・・ありますよね?
「サビないから」という理由で、エンジンマウントのボルトに使ったりする人を見掛けますが。
また、ボルトに限らず、例えばシーシーバーとか。
そういうモノにも、ステンレスを採用してみたり・・・。
それに対して、「否定」している訳では、決してないのですが・・・
作り手の判断も、あるでしょうから。
ただ、自分は・・・
ステンレス製の部材・ネジ類は、一切使いません。
鉄か、アルミ部材を使います。
これは他ならぬ、Hさんが言っていまして・・・
要するに・・・
「ステンレスは、硬すぎる」
・・・との事です。
バイクのフレームは、走行中・・・特にカーブを走行中に顕著に表れますが・・・
「フレームが『しなる』」
のですが、お気付きの方、どれくらいいらっしゃるでしょうか・・・?
この、「しなり」ですが、異常でもナンでもなく、むしろ必要不可欠な現象です。
スーパースポーツなど、サーキット走行をするような車輌の中には・・・
極めてフレーム剛性の強い車輌が存在しますが、通常の市販車輌であれば、ほとんどが「しなる」場合が多いです。
ハーレーも、例外なく「しなり」ます。
そこで例えば・・・ですが。
フレームを鉄で構成されたハーレーと、ステンレスで構成されたハーレーがあった、とします。
そのうち、どちらが所謂「長寿命」か。
詳しい人でしたら、「ステンレスのフレーム」という時点で、「いやいや、それは無い!」とお思いでしょう。
Hさんも、全く同じ意見です。
なので、自分もHさんに準じています。
皆さんは、どうお思いですか?
ステンレス製のフレームですからね。
さぞかし「煌びやか」に輝いてる事でしょう。
つまり、残念ながら「見た目重視」でしかない。
フレーム強度という実用性を鑑みると・・・
熟知した人は「怖くてステンレスのフレームのバイクには、乗れない」。
間違いなく、クチを揃えて言いますよ。
つまり・・・
ステンレスは、硬すぎるがゆえに、ひとたび歪んで「クラック」が入ろうものなら・・・
完全に「分離してしまう」まで、一気に破損してしまいます。
なぜ、フレームに鉄を採用しているか。
鉄も当然、やがてはどこかしら「クラック」が入ります。
まず、この現実は受け入れなきゃいけません。
で、クラックが入ったら・・・
ステンレスとの最大の違いは、一気に広がらない事です。
早期発見されれば、比較的浅いクラックの修復で済みます。
要するに、鉄の場合は、「粘りがある」という事なのでしょうね。
ツーリングの途中で、何気なく愛車チェックしていて・・・
運悪くフレームのクラックを見つけてしまった、とします。
それが鉄フレームの場合、細心の注意を払いながらも自走して、帰還出来ます。
(例外もありますので、万が一の場合は責任は負えません。自己責任で判断下さい)
それがステンレスのフレームだと、そうはいかないです。
走行中に、一気にクラックが広がり、完全に「真っ二つ」になりかねません。
まぁ・・・あくまで「仮定」のハナシですので、アレですが・・・。
分かりやすく言えば、「適材適所」ですね。
ハーレーは、ネジというネジが、緩みやすいバイクですので。
都度、緩みチェックは、欠かせませんね。
ステンレスを使って、ステーやシーシーバーを作り、光り輝かせるよりも・・・
鉄で作り、メッキ加工で補いましょう。
以上、後半は少し脱線しましたが、ミッションがなかなかのお宝度の高いモノだった事に気付いた一件でした。