家族で風呂屋に行った。
駐車場の街灯が斜めに倒れていた。
息子と夫「台風じゃない?」「そういえば台風の前来た時は倒れてなかった!」台風なんて年末の話である。まったく適当だ。
とりあえず鍵付きロッカーに靴をしまう。
息子と夫「ラッキーナンバーがないよ」「ラッキナンバーがあるとみんなが使いたがって喧嘩になるからないんだよ」「へーなるほどねー」そんな訳ない。やはり適当だ。
靴をしまいお金を払い「じゃね」と男女別に分かれる。
中に入ると、かけ湯の前で婦人2人が桶をキープしたまま立ち話。こんなとこでしかも全裸で、なにを語る事があるのか。私の視線に気づき、桶を投げ置く。まったく感じ悪い。
洗い場で全身を隅々まで洗う。いくら使ってもいいんだし、と足の指を洗うだけにボディーソープ3プッシュ使ってみる。
そして露天風呂を覗くとなんと。誰もいないではないか!
一人優雅に満月を見ながら湯船に浸かる。正確にはこの場所から満月は見えないので、想像しながら浸かる。
なんて贅沢!!
調子に乗って泳いでみる。ついでに嵐を熱唱してみる。腕の力だけで浮いてみる。
しばらくすると人の気配がする。慌てて姿勢を戻す。彼女は向かいに座ったので、ちらっと見てしまう。
な、なんと彼女。前の職場にいた、本○さんにそっくりではないか。
こんなとこで、素っ裸で、知り合いになんか会いたくない。ドキドキして思わず背を向けてしまう。
しかし落ち着いて考えてみると、私の知ってる本○さんは男である。
そしてここは女湯である。本○さんのはずがない。
気を取り直して、向きを変える。でもやっぱりドキドキして落ち着かないので、移動する。
しかし気持ちいいい。普段家の風呂は下半身浴と言っていいくらい湯が少ない。
なるべく広い面積湯に浸かろうと低姿勢になり、リラックスするどころか逆に体力を消耗する。恐ろしい。
十分に満足し、これ以上はのぼせます!というところで風呂をあとにする。
脱衣所を出ると、息子と夫がコーラを飲んで待っていた。風呂上がりは瓶牛乳と決まっているのに、コーラ。この人たちはいつでもどこでもコーラ。
靴をはき、外へ出る。温まった体温が一気に下がっていく。駐車場に向かいながら、また斜めの街灯の話をする。そしてウトウトする息子を助手席に乗せ、車を走らせる。
窓の外の満月に、ウサギの姿を見たような気がした。