12/4、東北新幹線は念願の全線開業を迎えた。東北新幹線が盛岡止まりで開業してから約40年、追い風要素の少ない中、ついに当初の計画通りの全線開業である。しかしその一方で、在来線である東北本線は、盛岡以北の路線全てがJRから切り離された。JRから切り離された路線は地元の第3セクターが引き受け、今後は地元に赤字路線維持の負担がついてまわる事となった。


いわゆる並行在来線の問題である。


 在来線問題が発生する経緯は以下の通り。



・民営化したJRとしては、遅い在来線特急より新幹線の方が客を取れる。


・在来線特急が新幹線に置き換わると、在来線の利用客は普通列車の利用者のみ。


・普通列車利用客には、特急料金&長距離利用という「うまみ」が無い。


・しかし廃止にしてしまうと、貨物列車が走れなくなり物流に影響する。


・普通列車利用客は学生や老人で、弱者救済名目で地元自治体が路線を引き受けてくれる。


・政治家や利権関係者は、弱者の交通や自治体の負担を気にしない。



こういうやり方で新幹線整備が進むのは、一鉄道好きとして感心しない。



 そもそも新幹線は輸送力不足を補う目的で、輸送需要の多い「幹線」に新しく並行する路線として作るから「新幹線」なのである。新幹線開業とともにJRが元々持っていた在来線を切り離すと言う事は、元々の路線と新幹線両方が必要なほどの輸送需要が無いという事である。


それならば、その実情に合った形で整備を進めればいいのだ。


 例えば貨物列車は移動ルート変更で対応し、普通列車はバス代替にする事を検討すべきだ。貨物列車が走っていない在来線に新幹線を健闘する場合は、ミニ新幹線という手がある。従来通りのやり方での新幹線整備にこだわれば、その代償は地元が負い続けなくてはならない。地域に作られる交通機関は地域のためにあるべきである。今後着工の可否が決まる以下の路線では、地元の負担ばかり増えるような形を避けるべきである。



・新函館~札幌

→並行在来線は廃止してバス転換。在来線廃止には貨物列車の問題があるが、青函トンネルで検討している「トレインオントレイン」で長万部まで、貨物列車が新幹線の線路を走る手もある。建設費という初期投資はかさむが、長大なローカル線を、地元で未来永劫支えられるのか?将来の採算は火を見るより明らかで、初期投資で何とかできないなら新幹線自体をあきらめるべきである。東京・東北との移動所要時間が劇的に短くなるのは魅力的だが、難しい点が多い。


・金沢~新大阪

→在来線特急で輸送力・所要時間とも問題ないと思われる。初期投資で金をかけて、未来の地元負担を増やすだけ。完全なる不要路線と言える。


・新鳥栖~長崎

→貨物列車も走っていないため、ミニ新幹線が良い。ミニ新幹線は在来線に普通列車と新幹線とが共存するもので、短い区間なら費用対効果が非常に優れている。唯一の欠点は貨物列車との共存が難しい点だが、この路線には貨物列車が走っていない。現行で出ているフリーゲージ案は、従来型に差し替えるためのハリボテか、はたまた一番ダメな整備形態と気付かずに言っているのか。どちらにせよ地元住民にベストな形とは思えない。



 道路にも空港にも言えるが、本当の意味で新規建設をするべきインフラは、日本にはほとんど残っていない。その状況で整備するのなら、せめて地元の現状にあった形にすべきである。


 では、また機会があれば。