しもつけ自動車館_走行音とメカの雑記帳

しもつけ自動車館_走行音とメカの雑記帳

鉄道・バス・時々自動車、メカ好きの視点も織り交ぜながら、走行音についての記事を公開していきます。

※あくまでも趣味視点ですので、技術的な正確さは担保しておりませんので、その点悪しからずご了承ください。

前回の記事で宿題(?)となった「加速型」と「高速型」について。

 

具体例の方が早いと思いますので、ふそうのMP317系の例で

 
●各ギヤ段での変速比
【OD5M】①5.431 ②3.463 ③1.747 ④1.000 ⑤0.741
【DD5M】①6.552 ②4.178 ③2.415 ④1.621 ⑤1.000

最終段の5速のギヤ比に着目すると、「直結=DD」と「OD」が一目瞭然ですね。
これを基本に、少し計算してみます。
 
 
まずは、隣接するギヤ同士を比べた時、どの程度回転数に差(段差)が出るかという部分。
判りにくいですが、要は、次の段に変速すると、エンジンの回転数がどの程度落ちるかという指標です。
●ステップ比(②÷③、③÷④、④÷⑤)
【OD5M】②→③1.982 ③→④1.747 ④→⑤1.350
【DD5M】②→③1.730 ③→④1.490 ④→⑤1.621
逆数となっているのでややこしいですが、例えば、OD5Mミッションの2速→3速に変速した場合、
上記の数値から回転数が1/1.982になることが読み取れます。
つまり、ざっくり半分に落ちるという事を表します。
 
 
次に、全体でどの程度変速幅があるのかを指数化してみます。
直感的な説明で例えるならば、
自転車の一番軽いギヤと一番重いギヤの間の回転数差になるでしょうか。
ただし、このテの商用車は常用ギヤが2速からですので、
通常発進段の2速と最終段の5速の差で計算してみました。
●②~⑤のレシオカバレッジ(②÷⑤)
【OD5M】4.673
【DD5M】4.178
OD5Mの方が数値が大きい、つまり変速幅が大きいと言えます。
 
それでは先に進みます。
 
まずはステップ比に注目。
【OD5M】の場合、②→③、③→④の数値が大きく、ギヤ段数が変わると、回転数も大きく変化することが分かります。
【DD5M】の場合、OD5Mに比べてその数値が小さく、回転数の変化も相対的に小さいことが分かります。
 
一般的には、変速時の回転数の変動が少ない方が、回転力(トルク)の段差ができにくく、
所謂「ギヤの谷間」の影響を軽減することができます。
クロスレシオなどと呼ばれることもありますね。
したがって、【DD5M】の方が、この「谷間」が小さくなるため、
特に山間部を走行する際には特性がよく合致する場合が多いと考えます。
 
であれば、全部そうすれば良いかと言えば、そう都合が良いわけでもなく・・・
ここでレシオカバレッジに着目してみます。
こちらは、【DD5M】の方が小さいですね。
つまり、限られたエンジン回転数で幅広い速度域をカバーしようとなると、
【OD5M】の方が、数値が大きい分、向いていることになります。
平坦な路線環境でクルージングする時などに向いている特性と言えるかもしれません。
 
 
ここまでの議論であれば「加速型」「高速型」でも差支えないとも言えますが、
前回の記事のとおり、「速い」「遅い」については、「終減速比」も加味する必要があります。
 
実際、レシオカバレッジが相対的に小さい【DD5M】ですが、
終減速比を【OD5M】よりも小さく設定することで、
実用域での速度差が顕著に出ないようにしています。
 
つまり、必ずしもODが「高速型」と言い切れるかというと、上記の部分があるので、
注書きが必要になると考えます。
(最も、ふそうの場合はOD5速の方が高速域に余裕があるのも事実です)
あえて別の愛称を考えるのであれば、ODは「巡行型」とでも言えるでしょうか。
 
 
理屈っぽいことを書き連ねてきましたが、要は、
・ギヤの谷間を極力軽減したい=DD5M
・変速できる範囲を広くとりたい=OD5M
という認識でOKだと考えます。
 
 
もっとも、この辺りは事業者の慣例(好み?)などに加えて、
移籍車等が存在する場合、必ずしも上記のセオリーどおりにならないのが、
趣味的には非常に興味の湧くポイントでもありますね。
 
 
ちなみに最近のモデルでこのような議論が出てこない理由は、
トランスミッションの変速段数自体が多段化したため、
わざわざDDとODでハードを変えなくとも、
小さいステップ比と大きいレシオカバレッジを両立できるからですね。
事実、路線車でも6速が当たり前になりました。
(乱暴に言えば、DD5M+更にOD付加でOD6速=両立)
 
多段化された以降の話については、また別の機会ということで、
今回はこの辺で区切りたいと思います。