しもつけ自動車館_走行音とメカの雑記帳

しもつけ自動車館_走行音とメカの雑記帳

鉄道・バス・時々自動車、メカ好きの視点も織り交ぜながら、走行音についての記事を公開していきます。

※あくまでも趣味視点ですので、技術的な正確さは担保しておりませんので、その点悪しからずご了承ください。

現在主流となっているリヤエンジンバスでは、エンジンの回転力がタイヤへ伝達されるまでに、トランスミッションとデファレンシャルギヤの 2箇所で減速が行われます。これらの減速度合いは、カタログ諸元などにおいて、前者が「変速比」、後者が「終減速比」あるいは単に「減速比」と記載されることが一般的です。

 

 

さて、ここからは走行音との関係についてです。

 

走行音サイトやSNSなどでは、「直結5速」「OD5速」、あるいは「DD5M」「OD5M」、また「加速型」「高速型」といった分類が用いられることがあります。これらは主に 変速比に起因する分類といえます。すなわち、トランスミッションでどのように減速するか=変速比によって、エンジン音とトランスミッション(変速機)ギヤ音の重なり具合が変化するため、一般的には 変速比が異なれば走行音の印象も変わることになります。

 

では、「直結」や「OD」といった言葉が何を表すのかという点ですが、これは トランスミッション最終段でどの程度減速するかを示す表現です。エンジン回転数を1とした場合、最終段で増速も減速もしない状態(変速比1)が「直結」、最終段で増速する場合が「オーバードライブ(OD)」となります。多段化が進む前の変速機は4〜6速程度が一般的であったため、その段数と組み合わせて「OD6速」「直結5速」などと表現されます。漢字と英数字が混在して煩雑な場合は、「DD5M」など英数字のみの略称が使われることもあります。

 

 

※余談ですが、「OD」という表記は、マニュアル車全盛期に免許を取得した方には説明不要の馴染み深い用語と思います。かつて教習所などでも、 1速=ロー、2速=セカンド(セコ)、3速=サード、4速=トップ、5速=オーバートップ/オーバードライブ(OT/OD) といった呼び方を耳にした方もいるかもしれません。年配の方でこの呼び方をする方も少なくない印象です。さらに余談ですが、昔の4MTタクシー(旧車)では、3速=トップ、4速=OTでした。

 

 

ここまでの説明では「終減速比」について触れていませんが、これはつまり 走行音に対して支配的な要素ではないためです。一般にデファレンシャルギヤユニット内では減速も行われますが、主役はハイポイドギヤであり、基本的には大きな音が出る場所ではありません(調子が悪い場合は速度に比例した低い唸りや振動が出ます。入力側のプロペラシャフトやベアリング起因の音も複合していると思われます)。ここでは車種にもよりますが、入力軸回転数の 約1/5程度まで減速されます(諸元の「終減速比」に該当し、数値が大きいほど減速度合いが大きくなります)。

 

では「終減速比」が走行音に全く関係しないかというと、そういうわけでもありません。

例えば、変速機が同じ「OD5速」であっても、速度に対するエンジン回転の上がり方は異なります。終減速比が大きい(深い)場合はエンジンの頭打ちが早く感じられ(いわゆるローギヤード)、逆に小さい(浅い)場合はやや間延びした回り方(ハイギヤード)になります。実際、UDのUA460系等では、ハイギヤの車とローギヤ・扁平タイヤの車では、回転数の上がり方に大きな差があります(走行音だけでは判別しにくいですが、乗車するとその差は明確です)。

 

 

まとめると、エンジン回転がタイヤへ伝達されるまでに「変速機」と「終減速機」の 2箇所で回転数が変換されるため、その過程でエンジン音に加えて走行音のキャラクターが付加されます。そして、エンジン音とギヤ音の重なり具合を支配する主因は、変速機のギヤセットの ギヤ比(歯数)となります。

 

 

最後に、「加速型」と「高速型」について触れておきます。「加速型」はメカ的にも正確な表現ですが、「高速型」についてはやや注釈が必要です。この点についてはまた別途後日に(気が向いたら、ですが…)。キーワードは ステップ比 と レシオガバレッジ でしょうか。このあたりは自動車雑誌や書籍などで詳しく解説されています。