最近、イカれた奴が多いですね。



この前みたいにハロウィーンの時に変な奴がウロウロしていると、他と紛れてしまってわかりづらいですよね。


ちょっと前でしたら護身について話しても「考え過ぎやろぉ」って感じでしたが、このような時代になってくると、そうも言っておれないですね。


護身を語る上でまず第1に大切なのが「心構え」だと思います。


何かあった時に考えるさ。とおっしゃる方が多いですが、何かあった時に落ち着いて対応できるのは、鍛練に鍛練を積み重ねた方か修羅場を何度もくぐり抜けてきた方くらいのもので、自分を含めた並みの人間は、色々な事態に応じた対応をあらかじめ考える「心構え」が必要不可欠です。


何故ならこういった場での動揺は死に直結しますからね。であるのに心構えが無い人ほど想定が無いので逆に楽観的に考えてしまいがちですね。


この前の事件を例に上げると、ナイフと殺虫スプレーと可燃性液体を用意した、悪い意味で計画と準備と覚悟を持っている相手に対して、何の心構えもない人間が相対した時に何ができるかを考えるべきですよね。


この心構えは言い方は違えど数ある護身術のほとんどで言及される事で、常日頃より自然に周りを観察する意識と眼が第一歩です。


たとえ取り越し苦労だったとしても、


「あれ、あの人なんか挙動不審だな」


を積み重ねる事により初動体制が整うと思います。


不審者を認識できたその次はやはり対象との距離の確保ですね。闘うにしても逃げるにしても距離感は変わってきますが、距離はとても大切です。


とは言え、一般の方は基本、逃げるの一択で考えるのが無難かと思います。もっと言うとスポーツ格闘技では無く場合によっては殺す事も含めた護身を意識して鍛練していないのであれば逃げた方が良いのではないでしょうか。


自分もそうですが、スポーツ格闘技をやると確かに単純戦闘力は上がるとは思うのですが、それとは別の部分で自分がやっている競技のルールに気付かぬ間に縛られてしまう、武道的な言い方で言うと「居着き」に捕らわれてしまう事に陥り易いです。


ボクシングや空手をやっている人が喧嘩でタックルや髪の毛を捕まれてアッサリと負けてしまったり、ハイキックしようとして軸足が滑って転倒してしまい自爆するのが、このパターンですね。


簡単に書くと「俺はそんなにマヌケじゃない」と思われる方が多いのかもしれませんが、ハイキックで自爆パターンで細かく例を挙げると、


それ専用の着衣でなく普段着でハイキックしようとすると服が突っ張ってしまい意外と足が上がらず相手の肩口に当たってしまい、蹴り足をキャッチされて転倒させられる。また転倒した時に道場やジムと違いマットやリングでは無いのでアスファルトやコンクリート上で転倒すると、それだけでかなりのダメージを喰らってしまう。


アスファルト、コンクリート、タイル等の上でハイキックしようとすると、それらの上には薄く砂が積もっている場合が多く軸足が滑って転倒する。また靴を履いているのでその分の重みでいつもより遠心力が働いてしまいバランスを崩して転倒する。またそのいずれの転倒の仕方でも背中から倒れるので硬い路面で背中を打って呼吸困難に陥ったり、後頭部を打って脳震盪を起こす。


等のパターンが有り得ます。これらを想定せず道場やジムと同じ感覚で蹴ってしまい自爆するのが考えの居着きによるものですね。


ですが勿論、技がまったく通用しない訳では無くて、それらを想定して滑りやすい地面上でも鍛練して蹴れるようにしておくのが心構えなのかなと思います。それが勝ち負けだけでなく、場合によっては生き死にを分けるのではないでしょうか。




自分の体験談で言うと、学生時代あるビーバップハイスクールのような工業高校に通っており揉め事三昧な毎日で腕っぷしにもそこそこ自信がありましたが、社会人になりしばらくして更なる強さを求めてフルコンタクト空手を始めました。


最初は顔面無しの戦いに違和感しか感じませんでしたが、ずっとやっているとすっかり感覚も考え方も染まってしまい違和感も疑問も感じなくなっていました。


そんな時にある障がい者の施設で働く事になりました。そこは精神的に不安定な状態になってしまうとかなり暴れてしまい、他の施設では対応できない方の最後の受け入れ施設のようになっていました。


最初は喧嘩の場数もこなしているし空手もやっているし楽勝やろぉ~位の感覚でしたが、実際に目の当たりにしてみて敢えて誤解を恐れず率直に言うと、リミッターのかからない暴れっぷりと人間が純粋に持っている本来の攻撃性の高さに情けない事に恐怖に震えてしまう程でした。


それらの方々を怪我させないように押さえて落ち着かせなければならず、働く皆さん時には血塗れになっていました。


なかなか想像がしにくいかと思うのですが、20歳の体力が有り余る体重100キロの子が口では「ごめんねぇ~」と言いながらも目をギラつかせて近づいて来るんですよ、得意技は頭突きと目突きと噛みつきです。


頭突きで眼底骨折や、目の周辺を引っかかれて失明は逃れたもののシャンクス状態や、服の上から噛まれて紫と緑と黒が混ざったようなエゲつない痕になっている人がいました。


自分がやっていた空手には組技もあったのですが、そんなもん噛みつきや頭突きや肉に食い込む爪立ての前には役にたちませんでした。


しかもレフェリーがいる訳でも無いのでミスって不利な体勢になってしまうと命取りになると考えると恐くて恐くて恐怖の余りに手が出てしまいそうでしたが、それをしてしまうと障がい者虐待になるので、その一線は越えられません。かといって自分が血塗れになってもなんて覚悟も持てなくて、自分が積み上げてきたものは何だったんだと、ここでは何の役にもたたないと思い悩んでいました。


そんな時に自分の武道感を変えてくれた人との出会いがあったのでした。


長くなりましたので続きます。