先月末のことになるが、国立がん研究センターから、「ネオアンチゲンワクチンによる完全個別化がん免疫療法に関する共同研究契約を締結」のプレスリリースがあった。

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/1027/index.html 

ネオアンチゲンは、がん細胞の遺伝子変異を含む抗原のことであり、それを標的としたワクチンによって、個別化治療を目指すものである。 
この共同研究は、患者のがん細胞に生じた遺伝子変異の中から、その患者の免疫反応を強く誘導するネオアンチゲンを迅速に見出す手法を開発するものである。 

妻が受けたペプチドワクチンは、共通自己抗原を標的としたもので、がん細胞にペプチドが提示されていないと意味がないため、効果が限定的になっている。 
ネオアンチゲンはそれぞれの患者の遺伝子変異を含む抗体であるため、それを標的としたがん免疫療法の効果が期待されるわけである。
免疫チェックポイント阻害療法ががんに著効する場合の根拠として、この遺伝子変異が多いということもあると、下記の論文には記述されているが、遺伝子変異の少ないがんでは、効果が小さいということでもあり、免疫チェックポイント阻害剤の奏功率が30%に過ぎないのもそのためだろうか。

共同研究の中心である中面哲也医師の論文 
「がん免疫療法の時代がやってきた」 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/39/3/39_164/_pdf