焼きそら豆。 | おじさんの依存症日記。

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 昨日、母トミエ88歳の里、香川県の親戚からそら豆がどっさりと届いた。 段ボール箱に4、5キロはあるだろうか。 そら豆を小豆島の醤油に漬け込んだ香川名産、「醤油豆」 はおじさんの大好物だか、新鮮なものはそんな手を加えるよより、手早く加熱して粗塩を振りかけて喰うのが一番うまい。
 
 
 
 母は塩茹でが好み、おじさんは莢ごと真っ黒になるまで焼いたやつ。 塩で茹でると、せっかくの旬の旨味が逃げてしまう気がする。 その点、莢ごと焼くと、莢の内の水分だけで蒸し焼きとなるので、そら豆の風味を十全に堪能できる。 
 
 確かに見た目は悪い。 けれど炭のようになった莢を剝いて、手の指を爪の間まで真っ黒にして味わう旨さは格別だ。 たまたま貰い物のヨーロッパ産の岩塩があったので振り掛ける。 「塩の一番うまい食べ方は、ステーキに振りかけて喰うことだ」 という格言があるが、そら豆だってそれに劣ることはない。
 
 
 
 
 どちらも新鮮で、実は皮ごと食べられる。 柔らかくて、馥郁としている 茹でた方が実はより柔らかなのだけれど、少し硬くても、噛みしめるごとに初夏の香りが口の中に広がる焼きそら豆の野趣に軍配を上げたい。
 
 そら豆の原産地は、地中海、西南アジアだと言われている。 インゲン豆が普及するまでは、そら豆は古代エジプトやギリシャ、ローマで主食だった。 紀元前3千年ころに中国へ伝わり、8世紀ごろ日本に伝わったという。 奈良・平城京の時代。 東大寺の大仏開眼の供物のひとつに、遠く西域から伝来したそら豆があったかもしれない。
 
 
 それは焼いたものだったのか、茹でたものだったのか。 聖武天皇や、光明皇后も食されたのだろうか。
 
 
 そら豆。 噛みしめるその味は、はるかシルクロードを渡ってきた歴史の味でもある。