国鉄ワフ21120→西濃鉄道ワフ21120
貨車鉄道博物館
2019年5月20日

ワフ21000型は、初の鋼製有蓋緩急車で、老朽化が進む木造緩急車の代替をすべく1933年〜1939年にかけて、汽車製造・日本車輌製造や鉄道省各工場大井・大宮・鷹取・吹田・土崎・苗穂・五稜郭・盛岡・長野・名古屋・小倉)で合計775輌が新製されました。『ワ』は有蓋車「フ」は緩急車を表します。緩急車とはブレーキ設備の付いた車掌室の付属した貨車を表し、型式記号『フ』ブレーキが語源です。

ワフ21000型の特徴は、乗務員用設備を改善に務めて車掌室は広く居住性が向上しました。車掌室側には手ブレーキを設けた出入用デッキを設けています。。当初は電灯・ストーブはありませんでしたが1952年以降実施された更新修繕の際に設置されました。また、ヨンサントウ(1968年10月1日ダイヤ改正)の際には板バネのリンクを一段リンクから二段リンクに更新、最高運転速度は65km/hから75km/hへ引き上げられています。

車体の大きさは全長:7,830㎜、全幅:2640㎜、車高:3,680㎜と15㌧積有蓋車と同じだが、貨物室は2㌧積と小さく、鮮魚など混載に不適な小口貨物貴重品輸送に専いられました。


ワフ21000型21120号は1934年、汽車製造で作られました。営業運転中では2名の車掌と2㌧の貨物を積載することができました。
国鉄で1977年まで使用されたのち西濃鉄道に移り推進運転でも使用されました。

シキ160
貨物鉄道博物館
2019年5月20日

シキ160は、特大貨物である変圧器を輸送するために製造されました。搭載方法は吊掛式(シュナーベル式)と称し、搭載する変圧器を車体の車体の間に挟み込み、変圧器両側の梁で吊り下げ車輌を構成するものです。このため、搭載する貨物によって全長が変化します。空車時(現在展示されている状況)でも全長は23,756㎜(連結器間、改造前は23,526mm)に達します。

シキ160は1955年3月、日本車輌で製造され、富士電機(後に日本AEパワーシステムズ)所有の私有貨車で、当初は製造当初は鶴見線安善駅常備で、早速富士電機製造川崎工場で製造された変圧器の輸送を開始します。

荷重130㌧に及ぶ特大貨物輸送に耐え得るため、台車は両側の枕枠それぞれに一段リンク式の軸箱支持装置を3つ連ねたNC-2台車(WB=1,550mm×2、車輪径860mm)を各2つ備えており、全部で12軸あります。

台車の上の車体は荷受け梁はトラス構造で、材質も高張力鋼を用いています。

製造銘板と改造銘板が残る
シキ160の台枠

1961年には、性能向上のために日本車輌製造東京支店で台車の車輪径の変更(800㎜)など各種改造工事が実施されます。
1962年に富士電機千葉工場の開設と翌1963年京葉臨海鉄道の開業を受けて京葉臨海鉄道京葉市原駅常備駅が変更されます。

ヨンサントウ(1968年10月1日ダイヤ改正)では、積載物の都合、最高速度65km/hの指定車となり、識別のため車体側面に黄色の帯を巻き、記号に「ロ」が追加されシキ」と表記されています。

車籍は京葉臨海鉄道駅に常備しながらも国鉄が有し、1987年4月の国鉄分割民営化後はJR貨物に車籍編入されています。
シキ160は1997年9月の変圧器輸送を最後に、翌1998年に全検切れとなりました。その後は工場内で保管されていたが、2007年8月に貨物鉄道博物館に収蔵され展示されています。

2010年には貨車発達を示す重要車輌としてシキ160名鉄ト246、国鉄→西濃ワフ21120、東藤原駅に保存されているホキ25767とともに重要科学技術史資料に指定されています。