大正から昭和初期にかけて様々な公共建築を手掛けた中村與資平の建築物は既に70年以上前に建てられましたが今もなお多くの建築物が使用されています。


豊橋市公会堂
2018年7月16日

1930年に中村與資平の設計で建設が開始された豊橋市公会堂は、中村の手掛けた数々の建築物のうちの真骨頂と云える建物です。それでは豊橋市公会堂です、1931年に竣工し、翌1932年8月、豊橋市制施行25周年に合わせて完成しました。

今回は豊橋市公会堂について、細かなディテールについて紹介します。建物についての概要については以前のブログに掲載さしていますので、そちらをご覧くださいニコニコ


ロマネスク
様式の建物

豊橋市公会堂の魅力はやはりロマネスク様式を基調としたスペイン風の円形ドーム。異国情緒溢れるこのデザインは、スパニッシュ・コロニアル・リバイバルという1910年代〜20年代にカリフォルニア州で流行したスペイン統治時代の建築様式の復興を試みたスタイルを模したものです。やはり欧米視察旅行の成果がこのように活かされているのです。


建設から85年余り、豊橋の街並みを変わらず眺めている4匹の鷲と公会堂のドーム。鷲の像が置かれたのは豊橋市の将来を象徴して、力強く羽ばたいて飛び立とうとする4羽の鷲の像が付けられていたのです。

実は現在、豊橋の街並みを見守る鷲は老朽化により2代目です。
豊橋市公会堂は1998年9月に国の登録有形文化財に登録されて翌1999年から外壁等の大規模改修工事を開始、2000年1月に改修工事が完了しました。


初代の鷲のうち2体は屋根から降りて建物となりに展示されています。これは1999年から外壁等の大規模改修工事を行った際に老朽化した初代の鷲を下ろしたもので、これだけでも中村與資平の建築の芸術性の高さを間近で感じる事が出来ます。



ドームの中は、空洞となっています。複雑なモザイク模様の外観とは対照的に真っ白のドームの内側はなぜか色々な事を物思いに耽ってしまいます。


大正から昭和初期にかけてオーバル(楕円)や丸窓が建築や船・飛行機・鉄道車輌に至るまで普及しました。


高松琴平電気鉄道3000型300
仏生山
2018年1月29日
戸袋窓に楕円窓を付けている。1926年日本車輌製。

屋根の鷹のモニュメントと同じくステンドグラスは改修時に複製され、完成当時のものはロビーの壁面に飾られて貴重なステンドグラスを間近に見る事ができます。


階段を下に見れば、美しい螺旋階段が見えます。手摺は人工大理石を用いながらも、長い年月を経て輝いています。因みに1931年当時の建設費は当時の金額で約17万円だそうです。