秋葉線の小型電車には多客時には客車や貨車が1輌連結されていました。客貨車も何れも木造2軸車で製造時期や長年に渡る使用により1輌ずつで仕様が異なり、同様の経歴の小型電車の良き伴侶として活躍しました。こちらの写真も袋井市教育委員会作成の袋井市文化財パンフレット№18.19より引用しています。









客車


🔵ハ1~3



1920年天野工場製の木造2軸客車です。妻面はオープンデッキでダブルルーフの古典客車で雨が降り込むとびっしょり濡れてしまいます。
乗降にはステップが付いており扉の代わりに細いチェーンが付いていました。

制動装置は手ブレーキがありますがサイドブレーキが主な用途でブレーキホースは付いておらず実際は連結されてぶら下がって行くだけでした。

寸法(L × W × H)
    :7,772 × 2,134 × 3,188
重 量 :  7.68㌧
制動装置:手用
定 員 :40名(座席14名)



晩年は妻板と窓ガラスが付けられました。



最終的には側面扉が付いて電車によく似合うスタイルでしたがまもなく全線廃止を迎えるのでした。



○妻板が付いた頃



○扉の付いた晩年の姿

🔵ハ5

1920年天野工場製で、玉川電気軌道より譲受したもので先述の通り初代モハ1を1950年に付随車に改造したものです。



1954年の改番時にモハ7(初代)がモハ9に改番したものの電車としては再起せず車体のみハ5に流用して廃線まで活躍しました。



○車体を載せ替えたハ5



○廃止当日、遠州森町に休むハ5

貨車


秋葉線の貨物輸送は1952年の改番の時点で電動貨車が1輌、有蓋車3輌、貨車3輌が在籍しました。
沿線の農産物や日用雑貨品が主な荷物でしたが袋井駅前と遠州森町には貨物上屋もありました。


🔵ワフ1 - 3

1925年日本車輌製の有蓋車で木造の好ましいスタイル。妻面に小窓が開いているが、これはハンドブレーキがクランク型のために開いています。
創業時には十数輌用意されましたが1952年の車番整理の際にワフ1~3に整理されワフ1・2は廃線まで活躍しました。



寸法(L × W × H)
    :5,892 × 2,065 × 3,000
重 量 :  5.05㌧
積載重量:  5.05㌧
制動装置:手用



🔵トフ1 - 3

1925年日本車輌製の木造2軸無蓋車です。ハンドブレーキは付いていますが車掌室はありません。

静岡鉄道秋葉線近辺の私鉄ではブレーキ付貨車は各社所有していました。
西隣りの遠州鉄道ではワフ600という有蓋緩急貨車が在りましたが、車体が老朽化して無蓋車に改造されましたが番号はそのまま活躍を続けJRよりホキ800払下げを受けるまで保線用に活躍していました。
東隣の大井川鐵道井川線にはシキ300大物車が現在も活躍していますがハンドブレーキが付いていますが車掌室は無く型式も緩急車を示す"フ"ならびに"ブ"と型式にはありません。



寸法(L × W × H)
    :4,880 × 2,160 × 1,742
重 量 :  4.65㌧
積載重量:  5.05㌧
制動装置:手用