こんにちは。地方公務員の基礎シリーズ、第5回です。
今日から「給与制度編」を書いていこうと思います。おそらく、公務員を目指す方にとっても、今まさに現場で働いているみなさんにとっても、一番関心のあるテーマではないでしょうか。
第1回は、給料の根幹を支える「級と号給」という仕組みについてです。
給与明細や辞令書に必ず載っているこの数字が、どういう意味を持っているのか。
人事担当として給与計算や制度設計に携わった経験から、わかりやすく紐解いていきます。
💡 この記事を読むとわかること
- 給料表(俸給表)のタテ軸「級」とヨコ軸「号給」の意味
- 「昇格」と「昇給」の違いは何か
- 毎年1月に給料が上がる「仕組み」の裏側
1. 「給料表」という名の地図
公務員の基本給は、各自治体が条例で定める「給料表」によって一円単位まで決まっています。(おそらく100円単位で規定しているとは思いますが…)
この表は、簡単に言うと「タテとヨコの表」です。
縦軸が「号給」。
これは同じ役職の中での経験年数や評価を表します。その役職の中での習熟度に応じて上がっていくものという捉え方が良いかもしれません。
横軸が「職務の級」。
自治体によって異なりますが一般行政職では1級から8級や9級までというところが多いでしょう。
これは役職の重さ(責任の度合い)を表します。例えば、1級は主事(一般職員)、2級は主任、3級は係長……といった具合です。一番上の職務の級にいるのが部長だったり理事だったりと言われる一般職で一番偉い人にあたります。
皆さんの給与明細に「1級25号給」のように書かれていれば、その交わった地点があなたの「基本給(月額)」です。
非常に透明性が高く、誰がいくらもらっているのか、表さえあればわかってしまう。
これが公務員の給与の最大の特徴です。
2. 給料を上げる二つの方法:「昇給」と「昇格」
公務員の基本給を上げるには、二つのルートしかありません。
📍 昇給と昇格の違い
・昇給(縦軸の移動):毎年1月に行われることが多く、基本的には4号給ずつ上がります。長くいればいるほど、業務習熟度が上がっていくので昇給して給料が増えます。
・昇格(横軸の移動):主事から主任へ、係長へと「役職」が上がることです。タテに段を登るため、昇給よりも跳ね上がり幅が大きくなります。概ね年に1回定期昇格月というのが定められていて、一定の条件を満たせば上がるようになっています。一定の職種以上については、定期異動のタイミングで役職付きとなって昇格することが多いです。
「自分は頑張っているのに給料が変わらない」と感じるかもしれませんが、この仕組み上、頑張りが直接反映されるのは「昇格」のスピードや、昇給時の「号給数(成績評価によって4号給が5号給になるなど)」です。
そのため公務員の世界では、爆発的に給料を増やすことは難しいですが、着実に積み上がっていく安心感があります。
ここが”公務員は安定している”と言われる一つの要素だと思います。
3. 人事担当だけが知っている「昇給の舞台裏」
毎年の昇給。何気なく迎えているかもしれませんが、その裏では「人事評価」が根拠になっています。評価結果が昇給区分に分類(S、A、B、Cといった具合です。)され、標準的なB評価なら4号給、優秀なA評価なら5号給……といったルールが自治体ごとに細かく決まっています。これは規則に規定されていたり人事評価の実施通知(手引き)に記載されているので、一度確認してみるといいでしょう。
自治体によっては絶対評価に基づく人事評価に対して、成績活用には相対性を持たせているところもありますね。
基本的には、同期は一律に昇給・昇格していきますが、こうした人事評価の結果で徐々に差が開くということはあり得ます。良い評価を得ることがすべてではないですが、しっかりと自分にもメリットがあるのであれば、モチベーションの一つにもなりますね。また、良い評価結果を得るということは、少なくともその自治体内で求められている仕事を達成しているということですので、ぜひ狙っていくと良いなと思います。
(もちろんそれだけがすべてではないですし、人事評価には直接的に反映されないような仕事も大事であることは言うまでもありません。)
また、給料表には「上限」があります。「この級ではこれ以上号給は上がりません」という頭打ち(最高号給)が存在するのです。そうなる前に、次の「級」へ昇格できるよう、日々の業務で実績を積んでいく必要があります。これは若手よりも、ベテラン層が直面するシビアな問題ですね。
4. まとめ:基本給は「信頼の積み重ね」
「級と号給」の仕組み、なんとなくイメージできたでしょうか。 公務員の給料は、あなたのこれまでの経験年数(号給)と、任されている責任(級)を数値化したものです。自分の給料がどうやって決まっているかを理解することは、自分のキャリアを客観的に見つめることにも繋がります。
今日のまとめです。
- 基本給は「級(役職)」と「号給(経験・評価)」で決まる
- 毎年着実に上がるのが「昇給」、役職が上がるのが「昇格」
- 自分の給与明細の「〇級〇号給」を確認してみよう
次回、6月16日は「基本給だけじゃない!地方公務員の『諸手当』全種類まとめ」をお届けします。住居手当、通勤手当、そして現場が気になるあの手当まで……。手取り額を大きく左右する「手当」の世界を完全網羅します。
それでは、またね〜。