入居者の足腰を弱めて介護度を上げ、客単価を上げるのが狙いですね??老人ホーム
高齢者を敬い、ねぎらい、大切にする。
そんなスローガンで、車イスの座面を〝笑点のザブトン〟みたいにフカフカに積み上げ、青色の散圧マットを敷き、背中に「ずっと寄り掛かって居て下さい」的な背もたれをセットして、老人ホーム長や専属ケアマネージャーは、己の優しさにご満悦。
人が「移動」するために必要な行いは、自分自身を支える面積を狭くすること。
寝ている時は、自分の大きさ全ての面で自分を支える。
対して、歩くとなれば、自分を支える面は足裏面ひとつ。
寝ては移動できない。ゴロゴロ転がるしかない。家から外に出て、寝転がったままゴロゴロ転がってどのくらい移動できますかって話。
「移動する=自由」は、自分を支える面を狭くできる能力によって獲得される。
自分の体全体で自分を支える状態でしか居られない、すなわち「寝たきり」。
それは〝移動できない人〟という事で、移動できなければ食べ物にあり付けない。自力では生きて行けない状況ということになる。
「背中が起こせない」が致命的なのは〝口から食べられない〟こと
人は、あお向けでモノを飲み込めない。
あお向けはノドのトンネルが、胃でなく肺に繋がってしまう。食事の姿勢ではなく呼吸の姿勢になるという事。
だから体を上に向けて飲み食いすれば、誤嚥とか肺炎というより窒息で即死。
👆映画『悪魔の手毬唄』の恐怖シーン
吸気と嚥下は同時にできない。
この2つの生命維持動作は、一本の道(喉)を共用するため、効率的に真逆の姿勢となる。
とにかく、「老い」と「介護現場」という人生の暗部を、なぜか一生懸命に美化しようとする。
車イスの老人が、介護スタッフに囲まれてみんな笑顔のお花畑という構図の絵。
と、まあそんな現実に目を背けつつ、もうずいぶん前に作りましたのが、この高齢者向けチラシなのでありました。
「重心」を制する者が勝つ
欧米のスタイルを『行儀が悪い食べ方』と批判するのかと思いきや、これを推奨して日本の食事姿勢にダメ出しする内容となります。ただし批判はイスに腰かけての場合に限ります。
それぞれの状態から、床を押すように足を伸ばして立ってみたらどうなるでしょうか。
体の伸び上がる方向を絵にしています👆
欧米は前に入り、いわゆる前荷重となって機能的な姿勢に移行します。
日本式では、残念ながら重心が後ろにはずれて倒れてしまいます。神成文裕 神成裕 神成裕介 元気村グループ 翔裕館 翔裕園 GenkiGroup こうのす共生病院 サンガホールディングス
この様な結果となるのは、身体の重心と着地足の位置関係によるものです。
また、欧米式の 「自身が動いて捕りに行く」というスタンスにも見習うところがあります。日本の食べ方は、自身は動かず食べ物を口に運びます。
高齢者となったら〝自身を移動するフィジカル〟を維持してゆくため、皆でこぞって机にヒジを着いて食事をしてはいかがでしょうか。
また、欧米式の「ヒジ着き」は食物の飲み込みを楽にします。
ヒジを着いて食卓に寄りかかれば 「肩をすくめた姿勢」になります。
肩をすくめるとモノが飲み込みやすくなります(シリーズ 1 話を参照)。
反対に、胸を張って肩を下げると呼吸のしやすい姿勢となり、すなわちご飯も肺に入りやすく、誤嚥を起こしやすくなります。
『食事は姿勢を正して行儀よく』という日本人の習わしにケチつける話となってしまいました。
しかしタタミでの食事となると話は変わってきます。
正座で足を伸ばすと、素早く前に転がります。
武士の時代ならば、後ろから敵に切られそうになっても身をひるがえし、 武器を投げて応戦できる姿勢です。正座での直立は、重心を外していません。
日本の食事姿勢は、本来ここにあるのだと思います。