ただただ
キミと話がしたい
それだけ
別に小難しい話とかじゃなくても
くだらない話でもいい
そんな感じで始まった
キミとの恋の今日は
三か月記念日
記念日なんて下らないと
思ってたけれど
今じゃ
記念日じゃない日すら
記念日にしたいと思うくらい
貴重な毎日
そして今日は
三度目の通話
電話は互いに
苦手なのに
何を話せばいいのか
分からないまま
今日も、その時間がやってきた
「声が聞きたくて」
そうメッセージを
送ったのは
私の方だったから
私からキミへ
意を決して
電話をする
コール音が数回鳴る
そしてキミが出た
でも……
声が聴こえない
「あ、私」
「うん」
キミは、やはり口数が少なくて
返事のみ
「何か話してよ」
「例えば、どんな?」
「今日の夜食べたものとか、何でもいいよ」
「カレー食べた」
「そうなんだ」
「うん」
会話が広がらない
それは予想していたことだから
分かるんだけど……
肝心の声があまり聴けない……
まぁ、元々無口な人だし
喋らないのが当たり前なんだけど
逢いたいなぁ……
その言葉の代わりに
ひとりそっと溜息をつく
「あ」
「どうしたの?」
十秒くらいの沈黙のあと
「今、流れ星が見えた」
とキミが話す
「凄いー、そっちって
流れ星見えるくらい、空が綺麗なんだね」
「うん」
「いいなー流れ星、一度も見たことなくて」
「こっちに来れば?」
「こんなに離れてるのにどうやって」
「一緒に暮らそう?」
「キミと?」
「他に誰がいるのさ」
「キミしかいないよね」
「さっき願ったんだよね
一緒に暮らせるようにって、流れ星にさ」
「ロマンチストだね」
「意外?」
「どうかな」
無口なのにとても
ナイーブなキミ
そんなキミが言ってくれた
ロマンチックな言葉
その言葉が聞けただけでも
嬉しくて
私の不安は吹き飛んでしまった
私の街は
もうすぐ冬を迎えるけれど
キミがそう言ってくれただけで
この冬も乗り越えられそう
春になったら
キミに逢いに行く
そしたら一緒に暮らしたい
それまで
少し寂しいけれど
一緒に頑張ろうね
窓際から
空を見上げると
寂しがり屋な私たちに
秋の月が優しく微笑んでいた
まるで
私たちの未来を
照らすかのように……
