学生時代、猫を飼っていたことがある
たくさんたすけてもらった
僕は布団に入っても体が痒くなったり、悪夢を見たりでよく目を覚ましていた
ベッドから出ると物音に気付いた猫も寝床からでてきてそばにいてくれた
僕が苦しい顔で作業をしていると
教科書の上に乗ったり、キーボードに乗って邪魔をしてくれた
うまく生きられなくなった僕に
両親はかかわりたがらくなった
「もうなんにもできないじゃん」
「お前は両親にとって恥ずかしい存在なんだよ」
なんて厳しいことも言われた
助けてくれた人には
迷惑をかけることしかできなかった
朝目を覚ますとき
夜眠るとき
申し訳ない気持ちでいっぱいだった
そんな僕にとって猫にごはんをあげたり
トイレの後始末をする生活は
久しぶりに役割ができたみたいでうれしかった
ある寒い冬の夜、
アルバイトの帰りに駅のベンチに座って
そのまま動けなくなったことがある
どうにもならない出来事の連続に
なにもかもがどうでもよくなっていたから
・・・・
ふと「あ、あいつにごはんをあげなきゃ」と頭に浮かんだ
さっきまで悩んでいたことと
今浮かんだ小さすぎる抵抗をくらべて
ついほほえんでしまった
家に帰ると
やっとごはんかと少し呆れながら
のそのそとケージからでてくる
いつも通りの猫がいた。
