建物からは
チーズの良い匂いがしていた
「ここか」
クール・コヨーテは
店の横の窓から中の様子を
うかがった

「ん?あの丸い生地はなんだ?」

店主が丸い生地を
手で回し頭上になげたりすると
生地はどんどん大きくなっていった

「パンか?」

生地が出来ると
その生地に
サラミやトマト、ピーマン
それに不思議な黄色い粒
色々な種類
色々な色
色々な味
色々乗せ
それをレンガで出来た釜に入れて
焼いてい

「これは一体なんなんだ?初めて見る食べ物だ」

煙突からさっきより強く
美味しいにおいがしていた

ゴクリ

クール・コヨーテは

店の正面に立ち

今度は正々堂々お客として
店内に入った

「はーい いらっしゃい!ちょっと待ってね!」

元気な女性が対応してくれた

大繁盛の店内をみていると
さっきのレンガの釜から
アツアツの円盤状の食べ物が
次々とテーブルに運ばれていた

そのアツアツの円盤状の食べ物を
鉄の小さな円盤状の器具で切り

三角の形に切り取って
食べていた

「え?あれはなんだ?あのゴムみたいなやつは?」

クール・コヨーテは
黄色い物体がゴムのように伸びるのをみて驚いた
しかし皆美味しそうに食べている
これは食べてみるしかない

「お兄さんご注文は?オススメピザでいい?」

クール・コヨーテがこの店に慣れていないのに
気がついたのだろう
女性はこっちにまかせときなと言いたげに
聞いてきた

「はいオススメで…」

女性に負けた
ここはしたがったほうが良さそうだと
クール・コヨーテも理解した
何せ初めてなのだから

「これはセットの ジンジャードリンクよびっくりしないでね」

笑いながらその飲み物を
クール・コヨーテの前に置いた

シュワァァァァ
パチパチパチ

飲み物が弾けていた

沸騰しているのか?
そう思ったが
どうやら違うのである
なんと
氷が入っている

恐る恐る手に取ってみる
冷たい 耳を当ててみる
やっぱりこの飲み物から
弾ける音がする

周りを見渡す
大人も子供も
この飲み物を飲んでいた

飲むしかない
意を決して
その飲み物を口に含む
シュワァ
パチパチパチ
口の中でも弾けていた

飲み込んでみる
グワァワワ

喉が小さい針でつつかれたような感覚だ
美味しいとは全く思わなかった

ビックリした表情のまま
固まっていると

隣の席の子供に指をさされて
笑われていた

コホンと
咳払いをして
少しだけ
グラスを遠ざけ
なに食わぬ顔で
オススメのピザとやらを待つことにした