笑顔と笑い声がこだまする
会場に
クール・コヨーテは満足していた

これが本当の料理の姿なのだと
食べる人々を喜ばせ
幸せな気分にさせる

不思議と自分まで
幸せな気分になる

「それでは メインディッシュにございます!!」

テーブルには
ピザが並べられた
クール・コヨーテは
すかさず
子供の横へ行き
円形の器具で
器用にピザを切り分けた

子供達は
さっきのシュワシュワの飲み物の事もあるので
きっとこれも美味しいに違いないと
キラキラした瞳で
ピザを見つめていた

「ささ!皆様お召し上がりくださいませ」

ザワザワ ザワザワ

「これこれ何を言うておる ナイフとフォークがないではないか」

年老いた貴族がクール・コヨーテにそう言うと

「おお!失礼つかまつった そのピザと言う食べ物はナイフやらフォークやら使いませぬ 食べ方はこう!」

そう言うと
またまた
子供達にウインクをして

ピザを素手でちぎり
口に放り込んだ

垂れたチーズが口元にへばりついたが
それを気にせず
つまんで口に押し込んだ

その後
先ほどのドリンクを飲み

グゥエェェ

「これがこの食べ物の正式な食べ方にございまする」

キャハハハハ

また子供達が笑っている
キラキラした瞳で

「あいわかった!」

王様がすぐに
ピザをちぎり口に
その後ドリンクで
流し込み

もちろん

グゥエェェ!

「さぁ皆のもの!」

子供たちはすぐにとびつき
同じように

グゥエェェェ

会場は笑い声で包まれ
幸せな空気に包まれた

「こんなに楽しい食事は初めてじゃ 審査などもう良い クール・コヨーテをコック長に任命する」

貴族達慌てて

「国王さま!それは!三階級以上飛び越えコック長などと!こやつは まだその器にこざいませぬ!」

国王の笑っていた目が一瞬止まり
鋭い目線が貴族達に向けられた

「貴様ラ ダレニ 口ヲ キイテイル!」

貴様達は一斉に
のけぞった

何故彼が国王なのかを
皆は知っている
一代で国王になった
その恐るべき力を

「本日より我が国の料理長はクール・コヨーテ意義はないな!」
その声が会場に、こだました
「意義無し!!!!」
新しいコック長が誕生した