プログレ喫茶 Justin
第39回 ヒプノシス、ジャケットの魔術師
開催日時 3月30日 日曜日
21時~23時迄
今回、映画「ヒプノシス、レコードジャケットの美学」を見て、
頭の中を無数のアルバムジャケットが舞い踊るのを
感じて、是非ともヒプノシスを取り上げてみたいと思い、
今回の選曲は久々に私がさせて頂きました。
ヒプノシス(Hipgnosis ) とは、1968年にストーム・ソーガソン(Storm Thorgerson)と、
オーブリー・パウエル(Aubrey Powell)の二人が作ったデザインチームです。
もともと彼らはピンクフロイドのメンバーと個人的な友人であり、
A Saucerful of Secrets(邦題:神秘 1968年)からAnimals(1977年)まで、
すべてのピンクフロイドのアルバムジャケットのデザインを担当しました。
ピンクフロイド以外にも、レッド・ツェッペリンの
Houses of the Holy(邦題:聖なる館 1973年)
ウイングスの Band on the Run(1973年)など、
数多くの名作と言われるジャケットデザインを残してきたのはご存じの通りです。
もともと、Hipgnosisとは、催眠術(hypnosis)に引っかけて、
Hip(粋な)とGnosis(グノーシス主義)という言葉を合体させた造語です。
グノーシス主義 とは日本人にはあまり聞き慣れない言葉ですが、
西洋で紀元1世紀から2世紀頃に盛んだった思想運動で、
古来からの宗教(主にキリスト教)と対立する思想のことです。
そしてこれが、70年代のプログレッシブ・ロックの思想的背景や、
その前提であると指摘する人もいるのです。
ストーム・ソーガソン(左)、オーブリー・パウエル(右)
アルバム「神秘」
「ジャケットにメンバーの写真が無いじゃないか!」(レコード会社)
「じゃあ、中の水玉に入れるか」(ヒプノシス)
アルバム「原子心母」
「フロントジャケットは牛だけで、バンドの名前が出ていない。これでどうやってレコードを売るんだ!?」
(レコード会社)
「ジャケットにはタイトルもバンド名も入れるな!」(ヒプノシス)
Elegy - The Nice
ストームがある時、彼らの曲を聴いていて「砂漠に赤いサッカーボール」というイメージが浮かんだそうで、
そのイメージを実現するために、空気を抜いた60個の赤いサッカーボールをサハラ砂漠に持ち込んだ。
現地で空気を入れるのに1個20分掛かったそうで、それを60個膨らませ、砂漠に並べ撮影を行った。
『Houses Of The Holy』のジャケットもヒプノシスのデザインで、アーサー・C・クラークによる
50年代のSF小説『幼年期の終わり』のエンディングにインスパイアされている。
北アイルランドのジャイアンツ・コーズウェイを登る2人の子どもの写真を数枚繋ぎ合わせたコラージュは、
10日にわたって撮影された。ジャケットの不気味な色合いは偶然の産物で、
これが写真にぴったりの異世界的な雰囲気を添えている。
また、もうひとつ予期せぬ事態が起こった。裸の子どもの写真は問題だとして、
一部のレコード店が入荷を拒否したのだ
北アイルランドのジャイアンツ・コーズウェイで撮影されたのだが、
不幸なことに雨続きだったようで、思うような写真が撮れなかった。
しかし、その場で起点を利かせ、「あとでコラージュすればいい」
という判断で撮影を切り替えたところ、30分で終わったそうだ。
『百眼の巨人アーガス』ウイッシュボーン・アッシュ
「レコードの売り上げのためにアルバムジャケットを制作していたわけじゃない。
何らかのアーティスティックなインパクトを考えて作ったのであって、
マーケティングとかイメージ戦略とかそういうことじゃなかった。
僕たちはミュージシャンが音楽を作るのと同じくらい、真摯な姿勢でジャケットを
デザインしてきた。だから人々が長いこと僕たちの作ったイメージを楽しんでくれるのは
とても嬉しい」(ストーム・トーガソン)
『百眼の巨人アーガス』のジャケット撮影で南仏に滞在、「UFOを写真に撮るまで待機する」
と主張したりするなど、巨額の費用がかかった。
ウィッシュボーン・アッシュのアンディ・パウエルは「確かに費用はかかったけど、
彼らはそれに見合った最高のジャケットを提供してくれた」
「炎」 Pink Floyd
スーツ姿の男性が、同じくスーツ姿ながら背中が燃えている男性と握手している写真のジャケットである。
もちろん、CGなどない時代だから、本物の火を使っている。
静止したまま火をつけられるのはかなり危険だそうで、しかしそれでも、
スタントマンが「もうやらないからな!」とキレるまで、「あともう1回」と粘りに粘ったそうだ。
あるときオーブリーのアパートに一人の太った禿げた男が訪ねてきたそうだ。
その男を見たオーブリーは最初誰だか分からなかった。
しかし、その面影から
「おまえ、シドなのか!」
そう、変わり果てたシド・バレットの姿にオーブリーはショックを受けた。
その後、ピンクフロイドの「Wish You Were Here」のアルバムの録音スタジオに
シド・バレットは現れた。
映画の中でフロイドのメンバーのインタビューが紹介されるが、
ニック・メイスンはその時のことを思い出しただ涙した。
ウォータースもギルモアもライトも、ただただ
悲し気にうつむくだけだった。
見ていた私も涙が止まらなかった。
1977年発売のオリジナル盤『Animals』のあまりにも印象的なジャケット・デザイン、ロンドン
にあるバタシー発電所の煙突の間を漂う空飛ぶ豚は、ロジャー・ウォーターズのアイデアだった。
「当時アルバム・カバーをどうするか考えていた時、“空を飛ぶ豚”を思いついたんだ。
バタシーは発電所だったから4本の煙突が立っているわけだ。バンドのメンバーも4人だ。
それで ふと思いついたのさ"バタシー発電所を飛ぶ大きな豚“のアイデアをね」
デヴィッド・ギルモアも当時を振り返りこう語る
「空飛ぶ豚には名前があった。その名は“アルジー”だ。私も当時 撮影の現場にいたんだけど
、なんと豚は飛んで消えてしまったんだよ。留め具が壊れちゃってね。
空を浮遊してヒースロー空港の飛行ルートに入ってしまったんだけど、もっと高く上れと思ったね(笑)」
ヒプノシスのオーブリー・パウエルは最悪の場合に備えてアルジーを撃つことも考えたができなかったという。
「みんな 面白がってたが、こうも考えていた。“史上最悪の航空事故で捕まるかも”ってね。
でも警察のヘリよりも豚のアルジーのほうが速く上っていってしまったんだ。
分速600メートル以上は出てたと思うよ。ヘリが追いつけなかった。
夜にある農場から電話があった。"うちの牛が おたくのピンクの豚を怖がってる”とね。
その夜 回収し翌日 また空気を入れ直して飛ばしたんだ」
今回の『Animals (2018 Remix)』では、オーブリー・・パウエルがそのデザインを一新。
バタシー発電所は近年大規模な再開発が行われており、
改装工事の際にオーブリー・パウエルが建物を新たな視点で撮影、
オリジナル盤のデザインを印象的な形で作り替えた。もちろん豚の“アルジー”は今回も登場している。
今回の『アニマルズ(REMIX)』のジャケットについてオーブリー・パウエルが語る秘話映像が公開となっている。
「2018年にリミックスの話が出たんだ。アルバムのカバーを新しくしたいと思った。
まさにここで初めて豚を飛ばしたんだ。2本の煙突の間にね。
その後 発電所は再開発された。大がかりな再開発が行われたから、
早くしないと高層マンションに埋もれてしまうと思った。
テムズ川の北側からは当時のような発電所が見える
。橋の近くの場所から写真家のトルーマンと当時とは違った角度で撮影したんだ。
荒涼とした雰囲気を出すため色はあえて暗くした。
新しいアルバム・カバーは当時の要素をそのまま残している」
音楽史の中でも特にアイコニックなアルバム・ジャケットは、歴史に残る屈指のデザイン・チーム
によって作られた。ヒプノシスの主要メンバー、ストーム・ソーガソンとオーブリー・パウエルが
『The Dark Side Of The Moon』のコンセプトを考案し、ジョージ・ハーディがそのアイディアを
形にした。プリズムによって屈折した光が、スペクトル7色のうちの6色(インディゴが抜けている)
となるデザインだ。光線、プリズム、スペクトルの3つは、バンドとその音楽の3つの側面を象徴して
いるようだ。大掛かりなステージ照明、『The Dark Side~』の歌詞、そして「大胆でありながらも
シンプルなものを作ってほしい」という、ヒプノシスに対するキーボード奏者リチャード・ライトの
リクエスト。そして3つとも、見事に表現されている。
ヒプノシスは理不尽なまでの経費を要することがあった。
『狂気』に封入するポストカードのためにエジプトのギザまでピラミッドを撮影に行った
当初ピーター・ガブリエルは、彼らに、アメリカンコミック的なカートゥーンっぽいデザインを
「バンドを登場させることなく、レエルと彼のストーリーに集中させること」という
条件をつけて依頼しているのです(*1)。ピーターからの手書きのストーリー資料
Early Genesisyphian toil を Headly Grange での最初のミーティングで受け取った
ヒプノシスのメンバーは(*2)、次にウェールズの Glaspant Mano r で行われたミーティングで、
自分たちが最も得意とする写真合成を元にした白黒写真によるデザインを逆提案するのです。
これを見たピーター・ガブリエルがそれをすっかり気に入って、このアートワークとなるわけです。
ということで、このジャケットの仕上がりは、当初ピーター・ガブリエルは全く想定していなかったものなのです。
〜第6章〜 ジャケットのアートワーク (1)ヒプノシスの起用とその仕事|人生は川のようなもの
「プレゼンス」
左手前の後ろ向きの少女、「聖なる館」のあの全裸少女と同一人物だそうです。
1970年代に活動の最盛期を迎えるが、1980年代からミュージック・
ビデオなどの映像分野が顕著になり、それに対応した
映像会社「グリーンバック・フィルムズ」を設立するため 、
1983年にチームは解散する。
映像制作会社グリーンバック・フィルムズを起こすも、あえなく倒産。
ストームはデザイン制作、オーブリーは映画制作、ピーターはビデオディレクターや
音楽制作と別々の道を歩んでいった。
映画では、オーブリーはこの時のことを最後に語っている。
おおよそ以下のような話です。
時代はMTVの時代に変わり、彼らの会社は当時のPV製作に乗り出した。
そこで、ストームは妥協の無い製作に湯水のように製作費をつぎ込み
全く採算が取れなかった。
それはオーブリーの範疇を大きく超えてしまった。
そして、莫大な借金のあげくオーブリーは
ピーター・クリストファーソンとストーム・トーガソンの二人を前にして
詰め寄った。
「この会社は借金まみれで、明日までに返済しなければ俺たちは終わりだ。」
「俺は全財産を出す。お前たちも明日までに出せるか!
出せないんならこれで終わりだ!」
そう言って当時のことを語るオーブリーは涙した。
自分の兄弟よりも一生一緒にいると誓った相棒との
最後の別れだった。
そして、ラストに流れるのは……。
オーブリー・パウエル
「次の仕事のことで無我夢中だった。ワクワクと興奮していて、後ろを振り返る余裕なんてなかった。
前へ進むこと。それが僕たちの日々の規則だった。ヒプノシスのスタジオを通り過ぎていった
すべての吟遊詩人、芝居じみた人々、奇人変人に敬意を表したい」(オーブリー・パウエル)
この映画のラストを飾るのは「Wish You Were Here」だ。
それを聞いたとき涙がとめどなく流れるのを抑えることが
出来なかった。
今回、「Wish You Were Here」を最初に持ってきた。
映画を見ていない人には伝わらないだろうという思いから
敢えて、最初に持ってきた謎かけと思ってほしい。
誰にここにいてほしかったのか?
オーブリーは、フロイドは?
ここまで読んでくれた人には少しは伝わっただろうか?
だから敢えてラストはこの曲で飾りたいと思う。
偉大なるジャケットというキャンバスに、見果てぬ夢を
描いたアーティスト。ヒプノシスへ捧ぐ。
きっとデビッド・ギルモアも自分たちとヒプノシスのことを
考えたんだと思う。
Hight Hopes by Pink Floyd
Beyond the horizon of the place we lived when we were young
俺達が若い頃 地平線の向こう側で暮らしていた
In a world of magnets and miracles
その頃の俺達にとって世界は奇跡と魅力に溢れていた
Our thoughts strayed constantly and without boundary
偏見なんて無かった 自由に様々な事を絶え間なく考える時間があったんだ
The ringing of the division bell had begun
運命の鐘が鳴り始める その音は俺達を別れ道へと誘っていた
Along the Long Road and on down the Causeway
長い道沿いにある土手 川に飲まれる可能性のある下と関係の無い上
Do they still meet there by the Cut
下に残された人々は今でも上に行った人間と会っているのだろうか?
There was a ragged band that followed in our footsteps
ボロを纏った人間達が俺達の足跡を見付け後を追って来る
Running before time took our dreams away
俺達は走った 時の流れが夢を遠ざけようとするから
Leaving the myriad small creatures trying to tie us to the ground
無数の小さな生き物が俺達を地面にきつく縛り付けようとする
To a life consumed by slow decay
ゆっくりと腐食してゆくだけの人生を送らせる為に
The grass was greener
俺達は無限に続く草原を見ていた
The light was brighter
光が眩しくて
With friends surrounded
友人達に囲まれて
The nights of wonder
夜は好奇心を満たしてくれた
Looking beyond the embers of bridges glowing behind us
通った橋を見ると火が燃え広がっていた 火は勢いを増してゆく
To a glimpse of how green it was on the other side
その先にかつて居た草原を垣間見る あの無限に広がる草原を
Steps taken forwards but sleepwalking back again
橋に進もうとするが夢遊病者の様にフラフラと後戻りしてしまう
Dragged by the force of some inner tide
内なる力に引き戻されて先に進めない
At a higher altitude with flag unfurled
俺達は旗を翻し高みを目指し続けた
We reached the dizzy heights of that dreamed of world
目も眩む高き場所 この世界で夢を叶える為に登り続けた
Encumbered forever by desire and ambition
欲望と野心が俺達を駆り立てる 下りる事を許さない
There's a hunger still unsatisfied
飢え続け 満足する事は無い 其処にたどり着けたとしても
Our weary eyes still stray to the horizon
輝きを失った目でかつて見た地平線を見つめようとする
Though down this road we've been so many times
何度この山を下りようと思ったか分からない もう戻れないのに
The grass was greener
広大な草原
The light was brighter
光が眩しい位に輝いている
The taste was sweeter
甘い蜜の様な味が口に広がり
The nights of wonder
夜は不思議に満ちていた
With friends surrounded
友人達に囲まれて幸せだった
The dawn mist glowing
夜明けの光が霧を輝かせる
The water flowing
水が流れてゆく
The endless river
終わりの無い川を
Forever and ever
何時までも ずっと・・・
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配信の受信方法を公開します。
配信設定の仕方は
1. Window Media Playerを起動する。
2. CTRLキーを押しながらUキーをを押す
3. 配信用のURLを入力してOKをクリック
4. 配信時間になったら音が出ます
※1回入れるとそのまま聴けると思いますが もし続けて聴こえない場合は
配信が始まってから URLを再入力してみてください
配信URL http://153.199.68.10 :50000/
※ URLは動いてしまうので、最終的に配信当日にも確認して
ここに記述しますので、ご確認ください。
以上
よろしくお願いします。
セットリスト
1 Wish You Were Here - Pink Floyd 5:35
2 Astronomy Domine - Pink Floyd 4:13
3 10538 Overture - Electric Light Orchestra 5:34
4 Hang On To A Dream - Nice 12:41
5 No Quarter - Led Zeppelin 7:04
6 A Saucerful of Secrets - Pink Floyd 11:57
7 The Things We Do For Love - 10cc 3:38
8 Time Was - Wishbone Ash 9:42
9 Terrapin (Peel Sessions 1970) - Syd Barrett 5:04
10 Time - Pink Floyd 7:06
11 Shadow Of A Lonely Man - The Alan Parsons Project 5:35
12 Pigs - Pink Floyd 11:26
13 The Lamb Lies Down on Broadway - Genesis 4:54
14 Miranda That Ghost Just Isn't Holy Anymore - Mars Volta 13:10
15 Butterflies and Hurricanes - Muse 5:03
16 High Hopes - Pink Floyd 7:49