まだ辞めないで
呪いめいたその言葉
“地位”なんて紙のように軽い
争って
客より激しいクレームで
怒る覚悟があるのならば
100億のリスクヘッジに
夢を見る猛者よりも
逞しく私は生きてるの
どうすれば老害どもが
のさばったこの社会
倒れずに働いていけるのか
重い税の中
稼ぎ続けても
給料の天引きが
多すぎるの
まだ辞めないで
その慰留の目的は
天上人の甘い誘い
聞いてもいい
この遠い耳の奥にまで
届く自信があるのならば
厩戸皇子様なんて
現実のわけがない
血塗られたスーツケースに
詰められた新卒は
売りに行く子供たちの咆哮
また今朝も出かけるたびに
屍の数を知る
やるせない絶望の一人占め
鳴り止む目覚まし
日めくりの赤に
ああ今日は休日と
思い出すの
まだ逝かないで
夜明け前の終点で
パワハラに屈してしまいそう
柔らかなおくるみに抱かれ
眠りたい私は
竹の子なのでしょうか
やっと箸を付ける
食事の味さえわからない
まだ辞めないで
呪いめいたその言葉
“地位”なんて名刺のように軽い
抗って
客より激しいクレームで
どんな罵倒もできるならば
さあ踊ってよ
その震える爪先で
胡麻をする偽りの肩書き
滑っていい
この高いガラスの天井を
壊す度胸があるのならば
明日、辛かったら逃げて
探さないようにして