世界で一番面白いCartoonは『トムとジェリー』 | 叙情夜話ブログ

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疲れているときはやっぱりこれだね!!!



改めて観てみるとトムはイケメンだしジェリーは可愛いしで再燃するのに時間はかかりませんでした。


■例の最終回

ところで、ネットユーザーの皆様には既におなじみの、ファンの作ったあの『最終話』には、私は納得いってません。
(知らない人は各自ググろう!)
悲しい悲しくない以前に、大きく解釈違いでした。
死期を悟ってひっそり姿を消すトムは、枝にくくりつけた包みを背負う後ろ姿まで想像できるほどリアルですが、その一方で、この人のジェリー解釈は不自然と言わざるを得ない。
トム贔屓のあまりジェリーを愚かに書きすぎではないでしょうか。


反論したい点は大きく3つ。


解釈違いその①
天国で再会し嬉しそうに会話する二匹
日本語吹き替え版ももちろん知っています。
でも、二匹は滅多に喋らずジェスチャーで伝えるからこそ英語圏以外でもヒットしたんだと思いますし、ましてや「相手に対する気持ち」をああまではっきり言葉にされると違和感があります。
「また追いかけっこが出来るね」「負けないぞ」って、それ言ったら駄目なやつだろ……。
再会して感極まっていたとしても、キスとハグと笑い声と悲鳴と作戦会議の耳打ちゴニョゴニョだけでいいんです。
彼らの言葉遣いを固定してしまうと想像力が削がれます。公式でも僕だったり俺だったり、君だったりお前だったり安定しませんし、丁寧に喋るのか乱暴なのか、色んなファンが想像を膨らませるからいいのであって。

それでも敢えて言わせて貰えば、私のイメージではトムはお前でジェリーは君、ジェリーは親しみと見下しを込めて「トムw」と呼んでいて、トムの方はジェリーの名前は滅多に呼ばない感じです。「あのクソネズミ」くらいは言ってるかも知れませんが、プレゼントや手紙の時だけは律儀に宛名を書きます。


解釈違いその②
自分の気持ちに気づいてないジェリー
ジェリーは明らかにトムに特別な感情を持ってますし、自覚があります。『いなくなったことによる胸の痛みがなんなのかわからない』なんてことは、ない。


雌猫に夢中のトムに無視され、「このままでいいのか?友情を取り戻せ」と悪魔ジェリーが唆すシーンあり。
アニメでよく見る「天使と悪魔に誘惑されるシーン」は自分の建前と本音の象徴として描かれるため、悪魔ジェリーは紛れもなく彼の本心と言えます。
恐らく天使の方は「諦めて友達である彼の幸せを願え」というスタンスだったと思われますが、どちらにしろ彼はトムを特別と思っていることが描かれています。
その他、家を追い出されたトムが戻れるように取り計らったり、最初から親友という設定で仲良くジュースを飲んだり、二人して女に振られて電車に轢かれようとする悲劇的な結末を迎える話もあります。
プロが作っているのですから当たり前ですが、ファン創作より原作の死にネタの方がよっぽど心を抉ってきます。


解釈違いその③
トムの優しさに最期まで気づかないジェリー
あんなに聡明な子(※成人男性です)が、相手に手加減されていることに気づかないはずがないだろうという感情的な理由が一つ。
説得力のある理由としては、ジェリーはトム以外とも戦ったことがあるという事実です。
他の猫の実力に気づかず瞬殺される、というのは、ジェリーがトム以外の男を知らない(※誤解を招く書き方)から成り立つ解釈であって、そうでないことが原作で判明している以上、この説は可及的速やかに否定されます。



自分が劣勢に追い込まれると味方に助けを求めたり、


他の猫にボコボコにされてトムと共闘する話もあります。

トムばかり虐められる印象が強いのでジェリーに怒りが向かうファンの気持ちもわかりますが、序盤はトムが優勢だったり、普通にトムに虐待されたり、トム以外と戦って歯が立たず手を組むシーンも忘れないで頂きたい。
人間の価値観では、大きい者は小さい者を気遣うべき、権力者は貧困者に富を分配すべきという考えがあるからこそ、トムに不利益が多い構成なのではないでしょうか。

私はジェリー好きですが、トムが理不尽にボコられるのは気の毒だしやり過ぎだと感じるのには同意です。
あとこれだけは言いたい。トムがジェリーを虐待するシーンは、正直心が躍ります。
前述したように彼は殺されないことがわかっていますし、トムの時と違い、表現があんまり痛そうではないというのも要因です。

~ジェリーの受けた虐待行為(一部)~
・尻尾を押さえつけられ逃げ惑うところを金槌でガンガン狙われる
・釣り餌にされ冷たい池に垂らされる
・ケーキや分厚い本を頭から叩きつけられる
・ヨーヨーにして遊ばれる
・体とラケットを糸でつないでテニス(卓球?)される

悲鳴やリアクションに定評がある誰かさんと違って、ジェリーは体はちょこまか動いても、表情は真顔であることが多いです。
(小動物を助けるときは必死。自分だけが標的の場合)
肘をついてふてくされている表情もありますが、そんな余裕があるならなぜ逃げないのかといううお話ですし、勝率の高い彼が一体どういう経緯でトムに捕まったのか気になります。
ジェリーの場合は突発的な「痛い」「苦しい」というより、「現状に不満がある」という態度が主です。
つまり、遊ばれること自体は別に嫌ではないと。もう少し優しく扱って欲しいとは思っているかも知れません。


■お互いへの気持ちの違い

ジェリーは彼とは対等でいたい、あるいは自分の方が賢いのだからリードしたいと思っているようで、共同作戦の際は先導します。
対するトムはいくらジェリーに友情を感じていても、やはり自分が捕食側だという引け目や体格差もあり、猫友達に接する時よりも丁重にならざるを得ず、まるで兄か父のような接し方になることもしばしばです。
その際のジェリーへの扱いが、まるで壊れ物を扱うような手つきでいつも笑ってしまうのですが、これもトムの面倒見の良さの表れでしょう。
特に、ジェリーの背中に手を添えて歩行補助する仕草が好きでたまらない同士の方いますか?
一人歩きを始めた赤ちゃんにお父さんがするようなあれです。



ダンスが好きなクマがトムの家に逃げてくる話や、犬のスパイクと三匹で同盟を組む話などで、その仕草を確認することが出来ます。
特にダンスクマの最後のシーンは、直前までいがみ合っていたジェリーに対してそれをするという状況も相まって、笑いを誘います。
後はやや状況が違いますが、先ほど挙げた雌猫に恋する話で、構って欲しいジェリーを追い払う時に彼の体をそっと押しのける場面も数に入れるべきでしょうか。
トムは普段あれだけ小動物に対して乱暴なのに、まだ息子がいるわけでもないのに(大きなお世話)、あの仕草は一体どこで覚えてきたのかと突っ込むとともに、ジェリーが一応成人男性だということを我々だけは忘れないようにしておきたいものです。

このように、彼らの友情には大きな差異があります。
「どう見ても好き合っているのだから、もう喧嘩なんてしないで仲良くすればいいのに」という意見も尤もですが、それだと話が終わってしまうというメタな理由の他にも、実はトムのそうした父性的な態度にも原因があると思うのです。
ライバル視している同級生や同僚(と自分は思っている)からよしよしされたり、息子にするようにキスされたり、何か温かい目で見つめられたりしたら、馬鹿にするな、今に見てろ!と反発したくもなるでしょう。
そう考えると、ジェリーが「好き」なはずのトムを特に理由も無くやたら酷い目に遭わせたり、命懸けでちょっかいを出しに行くといった、一見矛盾した振る舞いにも筋が通るのです。
トム本猫に全く悪気はないというのも、彼らの悲劇で有り喜劇です。
トムをわざと怒らせて、追われている時だけはジェリーは彼に対等な存在として認めてもらえているわけです。
これは男性同士だから成立する関係であり、仮にジェリーが女性だったらどうでしょうか。
凶暴な猫が自分にだけはかしずく、お姫様のように甘やかしてくれる。他の鼠が彼に補食されても知ったことではない、彼は私のことが大好きで私だけは食べない、優しい……。
どこかで聞いたような陳腐な話になってしまいます。
このジェリーは、弱い者を庇ってトムに殴りかかったりはしないでしょうね。獲物を咥えて帰ってきたトムに普通にキスをして微笑みそうです。誰もそんなジェリーは見たくないでしょう。
ジェリーが小さい者には優しく大きい者には戦いを挑む、そして友達に見下されたくないという負けん気の強い『男性』だからこそ、この話は成立しているのです。
猫と鼠という種族の差、体格差の設定が、戦いのシーンだけでなく心理的にも生きてくる。実に良く出来たシナリオだと思います。

なお、ここで上げた女性というのはあくまでも昔のアニメに登場するステレオタイプな女の子像を指しているのであり、現実とは異なることを明記しておきます。


また、海外のアニメと言うこともあり、二匹は頻繁にちゅっちゅしますが……。


トムからジェリーへキスする時
・命の危機から解放された安心感
・第三者へ向ける仲良しアピール
・一時的に手を組んでいる
・頭を打つ、酒に酔うなどで正気でなくなった

ジェリーからトムへキスする時
・媚びるため
・感極まった時

しかし、ジェリーから誘うことが多いからと言って、彼の気持ちの方が強いと決めつけるのは早計です。
視認できるように二匹は体の大きさ、ひいては口の大きさが違います。よって視聴者目線だとどうしても「食べようとしている」と誤解されますし、(実際動画サイトで『味見』というコメントがあって笑った)トムからはしづらい状況が窺えます。
トムは正気を失っている状態や仲良し同盟を組んでいる時くらいしかキスはしません。本能的に、ジェリーを食べてしまいそうな恐怖と戦っているのかも知れません。
一方ジェリーは、ネズミ化したトムが元に戻って喜んだり、マンハッタンから逃げ帰ってやっぱりトムのいる家が一番だと実感した時など、感情が高ぶった時にキスをする傾向があります。
彼の牙や爪は、ジェリーにとって脅威ではないんでしょうか。人間で言うと、殺人犯の包丁にキスするようなものです。そりゃトムもポカンとしますって。

また「キスされた時」の彼らのリアクションとしては、話によって驚いていたり戸惑っていたり、喜んでいたり怒っていたりと様々です。
ただ、トムの方がより「ちょろい」のは確実。戦いの最中でも誘惑されるとあっさり落ちるか動きを止めてしまうのに対して、ジェリーはトムのキスに何かしらの意味を求めている(服従や誠意?)ためか、不本意な状況でされることには怒りの表情を浮かべていることもあります。
トムが天国に行く話で、それは顕著に表れています。

不死身のトムですがジェリーとの喧嘩の最中、たまたま魄が抜けてしまいあの世に行きます。
生前、無垢な鼠(笑)を虐めた罪で、天国行きを保留されたトム。
(海外の人にすら「イノセント……マウス?」と突っ込まれてて笑った)
天国に行くためにはジェリーに「全てを赦す」と書かれた誓約書に1時間以内にサインをして貰わなければなりません。

この話では、トムがジェリーにキスする場面が2回あるのですが、



媚びるようにキスされながら、サインをねだられていた時にはトムを睨み付けており、夢から覚めて感謝のキスをされている際には、事情がわからず困惑しています。
「そんなキスならいらない」と言わんばかりの怒りの顔と、最後の「彼に何があった?」と言う戸惑いの顔。
この二つの表情の違いが、ジェリーのトムほど単純ではない性質をよく表しています。

トムはジェリーに限らずキスされれば嬉しいが、ジェリーはキスされれば何でもいいってわけでもないといったところでしょうか。



初期は露骨に女の子路線で売っていた時期もありました。
このシャワーシーンの「フーフフフフフ、ラーラララーー♪」という鼻歌が頭から離れなかった時期もありました……。
未だに女子疑惑のあるジェリーですが、前述したように彼が女の子だと色々と表現に問題が生じます。
ここで「ライバルのトムに一人前の男として扱われたいなら、なぜ女の子っぽく振る舞ったりするんだ?」いう疑問を抱いた方へ。
確かに、食われないためにトムにキスをせがんだり、自分からキスして媚びたり、逃走のため女装したりするシーンが初期は多かった。
でも、彼のあれらの行為はどちらかというと、男性が嫌う女性の行動パターンなんですよね。
トムに好かれたくてやっているわけではなく、いわゆる『煽り』、あるいは『試し』行動の一種でしょう。わざとらしくしなを作って、「どうせこういう女が好きなんだろ?」という嘲笑が込められているような気がします。


■キャラデザの秀逸さ

子どもの頃は小さくて気づかなかったキャラの小さな表情の変化に気づくようになったのはやはりビデオやDVDの普及のおかげです。
あるいはyoutubeなどで自分の好きな場面で拡大、一時停止出来るようになって、あらためて滑らかなアニメーションの作りに感動した方も多いのでは。



それにしてもジェリーは可愛い。現実のネズミは大嫌いですが、彼は別です。
トムはまだ初期などは猫に見えないこともありませんが、ジェリーはウサギやリスの仲間に見えます。
柔らかそうなフニフニした体はカステラ生地で出来ていて、中に餡子が入っているに違いありません。
ジェリーの人形焼きを出したら絶対売れると思います。(もうあったらすみません)
彼が尻餅をつくところの音が好きです。「ぼてっ」とした音。
小さくてもちゃんと肉が詰まってるんだな、って……。(変態的な目)


トムはかっこいい。
顔もスタイルも他の猫と比較して明らかにイケメンですし、初期の猫猫した彼も現在のすらっとした彼も好きです。
トムジェリの擬人化は好みではないので手を出さないのですが、よく考えたら原作からして「擬人化」でした。
猫や鼠は二足歩行しませんし英語も喋りませんし、トムの中には、パンツ履いた人間の男性が入ってますしね。


このタキシードの後ろ姿の腰つきがエロすぎると思うのは私だけか。

制作者が酷い失恋の経験でもあるのか、登場する雌猫がことごとくトムを振りますが、もったいなさ過ぎてお化けが出る勢いです。
演奏できる・歌うまい・料理できる・イケメン・優しい・父性的・運動神経体力ともに抜群・不死身・笑顔かわいい・怒った顔かっこいい・頭も悪くない・豪邸住まい・女性に尽くすタイプ
一体何の不満があるんだ雌猫……。
あと、彼と結婚するともれなくジェリーもついてくるという。
(トムの居るところであればピアノの中にすら巣を作るジェリーさん)

トーマス・キャットとジェリー・マウスという名前からしていいですよね。
声に出して読みたい日本語ですよね。(※英語です)


■2020年にトムとジェリーは誕生80年を迎えるそうです

https://www.daimaru.co.jp/museum/shinsaibashi/tomandjerry/

80年!!!!

おじいさんになったトムとジェリーの絵を見たことがありますが、余裕で可愛いから困ります。
え?これでファンが引くとでも思ったんですか?
ただでさえ、動物は人間と比べて容姿の衰えが少ない上に、彼らは二次元なので。


当然のこととして、トムとジェリーは死にません。現在もどこかの大金持ちのお屋敷で仲良く追いかけっこしてます。

とろっとろに溶けてバターになっても、すぐに復活して走り出します。
いつまでも、いついつまでも。



【悲報】トムジェリ、過去に戦った相手を忘れる


よっぽど印象薄かったんですね……。

なおドイツとイタリアは覚えている模様