ノボの生き活きトーク 477号: 凛9(リンク)に思う | 生き活きノボのブログ

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 関東地方は変な天気ですね。雪が降ったかと思えば、翌日大雨と強風が吹き荒れ、その後は4月並みの気温になる始末です。大寒の那珂市は暖かい。

 ところで、一昨日、いつも見ているNHKプレミアムの番組『イッピン』がいつもと違って“工芸女子9人 華麗なる挑戦”と銘打って1時間半でした。ほかに特段見たい番組がなかったので、ズルズルと見た次第です。なるほどと感心した内容でしたが、その印象がなぜか強くなってきます。何でも3年前東海地方の若手女性工芸家9人が“凛9(リンク)”というグループを結成し、昨年11月名古屋市の徳川美術館でグループ展をやり、その経緯や活動内容を取材したものでした。工芸とは言っても流行りの陶磁器や漆器などではなく、いわゆる伝統工芸で、小さな彫物、和紙、漆塗、型抜き、組紐、七宝などの作品であり、我々一般人はなかなか手にしないものです。その昔にはそれなりの需要があったようですが、機械化、代替品の出現で現在は寂れた存在になっています。手作りの技術と伝統に裏打ちされた工芸品に魅せられて若い女性が、その伝統工芸の道を歩み始めたのです。今では30歳台から40歳初めの年齢に差し掛かっており、日夜腕を磨き、苦労しながらも生き活きとし活動しています。

大して需要のない工芸品を作っているのですから、それで生計を立て難いだろうし、工芸品の価値と素晴らしさを理解していただくのも大変そうです。伝統工芸士は減ってしまい、今では残った数少ない高齢者がいるだけです。それらの熟練した工芸士はほとんど男性ですが、そこに若き女性が弟子入りし、切磋琢磨しているのです。どういう訳か、後継ぎした男性以外は、男性がいない。多分、喰っていけない事情があるのか?

徳川美術館では源氏物語に関する展示会を企画し、その傍らに源氏物語をテーマにした工芸品を凛9のメンバーに創作していただき、展示の運びとなったようです。

 伝統工芸品の用途が廃れ、用途があっても安価な代替品に取って代わられる事情は如何ともし難い。機械で大量に安価に作られる品物に慣らされる我々であり、機能さえ満足していれば、それで十分という合理性に流される。伝統工芸みたいな感性という非合理性など必要ないということになる。最先端のテクノロジーを使って、最新のソフトで感性を刺激する道具のみが、グローバルに均一に世界を席巻する。そして、そこに巨大な富が集積する。勿論、そういう道具が世の中に蔓延し、それによって世の中の価値観が左右されるならば、伝統工芸品の魅力などに誰も振り向かない。だが、収斂された合理性と感性のみで世の中が動くとなれば、何だか恐ろしいですね。

 もしかしたら、日本の人口の1/3を占めるシニアは、長い経験とスキルで自分にマッチした感性を手に入れやすいのかも知れない。そう自覚して毎日を送れば、日本の社会が劇的に変わるのかも。ノボは、そう思いながら、ノボの好きな肴とお酒を毎日まじめに考えながら、一献傾けている訳です。 (令和2年1月30日)