ノボの気儘な音楽トーク 33号: トン・コープマンのオルガンリサイタルその4 | 生き活きノボのブログ

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  最後は、J.S.バッハの『おお、罪のない神の仔羊』BWV656、『フーガト短調』BWV578の2曲が演奏されました。前者は“16のコラール集”の第6曲目だそうですが、ノボは初めて聴いたにも拘わらず、親しみの気持で聴き入りました。ノボは、J.S.バッハのオルガン曲のうち、コラール集に関するものは何一つCDを持っていませんので、これから入手することにしました。

後者の『フーガト短調』は、ノボはそれが入ったCDを持っており、何度か聞いています。そのタイトルからイメージしますと、いかつい曲のように思えますが、よく耳にする曲で、多分誰もが聞いたことがあり、馴れ親しんでいる筈です。つまり、フーガの主題がよく知っている旋律であり、覚え易い特徴を持っているのです。その主題が示され、いろいろな声部がずれて歌い始め、それらが重なって混沌として進行します。しかし、それは単なる混沌ではなく、フーガの規則に従って整然としています。各声部がある意味勝手に歌いながら、それが重なって響くのですから、音楽が聞きとり難くなる筈です。しかし、コープマンの演奏では、重なってはいるものの、各声部が明瞭に聞こえ、思っていたよりも大音量で進行しました。ノボは、この曲について静かで粛々と進む音楽というイメージを持っていましたが、圧倒的に迫るフーガだったのですね。やはり生演奏を聴くと、いろいろなことが分かってきますね。

 プログラムに載った全ての曲を演奏すると、コープマンは、ペコリとお辞儀をして引っ込みましたが、また例の軽快な足取りで現れ、聴衆に会釈します。再度それを繰り返し、アンコールの曲を演奏しました。都合、3度アンコールの演奏をして演奏会を終えました。しかし、コープマンの所作は、何ともユーモラスというか、剽軽なところがあり、若々しさに溢れていました。とても71歳には見えません。オランダ在住のMちゃんより、“トン様、この間学校で見かけたと思ったら、日本に行っていましたか”というコメントをいただきました。“トン様”と呼ぶあたり、親しみを感じさせる人柄のようですね。

 最近では、日本のあちこちにパイプオルガンが設置されていますが、ノボも水戸芸術館にパイプオルガンが設置されていなければ、多分パイプオルガンの音楽を聴く機会はほとんどなかったと思います。今年の2,3月ドイツのチューリンゲンと北ドイツを旅して、どんな田舎にも教会があり、そして素晴らしいパイプオルガンが設置されているのを見て、やはりヨーロッパの音楽は根が深いと思いました。現在、我々が目にする楽器がなくても、パイプオルガンがあれば、いろいろな音が出せ、音楽を楽しむことが出来たのです。片田舎のドルンハイムの教会では、パイプオルガンに触れ、裏側の内部構造まで見せていただきました。ノボがオルガンに興味を持つのも、こんなことが影響しているのかも。 おわり。 (平成28年6月30日)