ノボの気儘な音楽トーク 9号: ベト七との係わり | 生き活きノボのブログ

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 “ベト七”とは、ベートーヴェンの交響曲第7番を、クラシック音楽ファンがよく使う略称です。ベートーヴェンの9つの交響曲はどれも有名であり、よく演奏されますが、クラシック音楽ファンならずとも、『英雄』『運命』『田園』『第九』と呼ばれる交響曲はご存じでしょう。ノボが46年前購入したレコードは、カラヤン指揮ベルリンフィル演奏の『田園』『新世界』がカップリングされたものです。その後、ベートーヴェンの交響曲のレコードは増えるばかりで、ワルター、フルトヴェングラー、セル、ショルティ、ヨッフムと多彩になりました。そしてCDでも取り揃え、交響曲全集として、ワルター、トスカニーニ、カラヤンのものを購入する始末です。呆れますね。

 さて、よく聞いたベートーヴェンの交響曲のうち、ベト七は、どちらかと言えば、聞く頻度が少ない方でした。ベト七を聞いたと認識する初めては、大学2年の時でしょうか。教養部時代のS-20のクラスで、名大祭の企画の演劇コンテストに出ることになりました。その演劇の内容は忘れましたが、苦悩する主人公のセリフに合せる音楽を選ぶことになりました。その時、ノボはブラームスのヴァイオリン協奏曲の第1楽章を押したのですが、それと供に、ベト七の第2楽章も提案されました。何人か集まって、ノボの下宿の部屋で聞き比べ、その結果ベト七に決まりました。ですから、ベト七は第1楽章から聞いたのではなく、第2楽章のみを聞いたことになります。

 その後、FM放送、レコードで全曲を聞き始め、また、どこかで生演奏を聴いていると思うのですが、思い出しません。ベト七については、“舞踏の讃歌”とか“リズムの饗宴”なる褒め言葉を聞きますが、ノボにとっては、第2楽章出だしのヴィオラが繰り返すアレグレットの暗い旋律(不滅のアレグレットとも呼ばれていますよね)と、あとは元気で賑やかで曲というイメージでした。ベートーヴェン特有の精神性や苦悩、哲学とやらをあまり感じなかった訳です。とにかく規模が大きく、リズムの多様な変化とともに、派手で光輝く音楽で、いかにもワーグナーが好みそうな音楽ですよね?

 ところで、もう指揮生活が危ぶまれた小沢が、昨年5月23日、水戸芸術館でMCOとともにベトト七を演奏しました。ノボは、Kさんのご好意により、運よく演奏会に足を運びましたが、その時の余韻が未だに残っています。小規模の室内管弦楽団であるMCOが弱った小沢でどんな演奏するのか、これで小沢の見納めかと思える状況です。

 だが、第1楽章は、ポコ・ソステヌートの序奏で、小沢の腕が厳しく振り下ろされた瞬間、引き締まった全奏のフォルテの一撃を食らった。この音を聴き、その後、張りつめた小さな音、緊張感、それがクレッシェンドした時のダイナミズム、各パートの歌わせ方など、全てが圧巻だった。こんなベト七はもう聴けまいと実感しました。ところが、その後、この演奏がTV放映されたのです。それを見て、あまりののっぺらぼうさに愕然としました。このベト七で、生演奏と録画の大きな違いを勉強しました。(平成27年7月25日)